【インタビュー】『脇役さんの就活攻略書』著者・藤井智也さん | 脇役さんでも内定を掴める思考法とは

【インタビュー】『脇役さんの就活攻略書』著者・藤井智也さん | 脇役さんでも内定を掴める思考法とは

「就活の教科書」編集部 野口

「就活の教科書」取材担当の野口です。
今回は、就活ブログ「就活攻略論」を運営する藤井智也さんに、著書『脇役さんの就活攻略書』に込めた想いと、就活の戦略について伺いました。
Profile


藤井 智也(Fujii Tomoya)
株式会社L100 代表取締役社長
1993年、愛知県生まれ。2016年名城大学農学部を卒業。大手食品メーカー(カゴメ)に入社し法人新規開拓営業に従事。2017年に個人事業主として独立し、就活専門ブログ「就活攻略論」を立ち上げる。2020年11月10日に株式会社L100を設立し、代表取締役社長に就任。2022年に求人サイト「ホワイト企業ナビ」立ち上げる。

藤井智也さんの著書『脇役さんの就活攻略書』について

主役ではなく「脇役」がターゲット

── 藤井さんの著書『脇役さんの就活攻略書』というタイトル、非常に印象的です。「脇役さん」という言葉にはどのような意図が込められているのでしょうか?

藤井さん:私は愛知県の中堅私立大学の出身で、学生時代に華々しい実績があったわけではありません。世の中の就活本の著者は、高学歴で「留学で成果を出した」「学生起業で稼いだ」といった、いわゆる「主役」の方が多いですよね。でも、そんなキラキラした経験を持つ学生は、全体の一握りです。

 

── 確かに、多くの学生は「自分には語れる実績がない」と不安を感じています。

藤井さん:そうなんです。私自身、「高学歴や留学経験がないとダメなのか?」とフラストレーションを感じていました。
だからこそ、特別な武器を持たない「普通の人」がどうしたら志望企業から内定をもらえるか。その再現性にこだわり、「脇役さん」という表現を編集者の方と選びました。

 

就活は思考の深さで勝負

── 特別な実績がない「脇役さん」が、就活で評価されるためには何が必要なのでしょうか?

藤井さん:結論から言うと、「過去の事実」ではなく「思考の深さ」で勝負することです。

就活で話せることは、大きく分けて「過去の事実(何をしたか)」と「考え方(どう捉え、なぜそうしたか)」の二つしかありません。留学や起業といった「過去の事実」で勝負できないのであれば、残された「考え方」の部分を突出させるしかないのです。

 

「なぜなぜ分析」で、考え方をアップデート

藤井さん:そこで私が推奨しているのが、ビジネスの現場でも使われる「なぜなぜ分析」という思考法です。なぜなぜ分析とは、一つの事象に対して「なぜ?」を5〜6回繰り返し、思考を深掘りしていく手法です。

私はなぜなぜ分析を、ESや面接の頻出質問すべてに対して行いました。ノートに「なぜ?」を繰り返し、樹形図のように思考を広げていく。すると、「幼少期のこの経験が原点だった」という自分の本質に辿り着きます。なぜなぜ分析による事前準備が、面接で話に深みを生む最大の要因になりました。

 

壁打ちにはAIを活用

── 最近は、就活にAIを活用する学生も増えていますが、藤井さんはどうお考えですか?

藤井さん:なぜなぜ分析を一人でやるのは意外と難しいので、AIを積極的に活用すると良いと思います。AIに「今から自己分析の壁打ち相手になって。私が回答したら、それに対して『なぜ?』と深掘りする質問を投げて」と指示すると良いですね。

ただし、「文章を作らせる」のではなく「問いを立てさせる」 使い方に限定してください。AIに答えを出してもらう丸投げの状態だと、面接で深掘りされた時にボロが出ます。しかし、AIを「問いの出し手」として使えば、自分の内側にある考えを引き出してくれるパートナーになります。AIは現代の就活生にとって、最強の武器になると思います。

 

面接が弱いのは自分への推し活不足

── 著書の中で「自分への推し活」という言葉を使われていますが、これはどういう意味でしょうか?

藤井さん:面接で言葉に詰まってしまうのは、自分のことを「等身大」で語れていないからです。例えば、アイドルのファンが推しのメンバーについて語る時や、スタバ愛好家がスターバックスの魅力を語る時のように、対象を深く知っていれば、いくらでも話せるものです。

就活も同じで、ESや面接で自分について深く話すためには、自分自身のことを「推し」と同じレベルまで掘り下げて理解することが必要です。無理に学業の話をする必要はありません。本気で取り組んでいないことは深掘りされると答えられませんし、面接官に見透かされてしまいます。ガクチカとして学業を語るのは、勉強や研究を突き詰めている人だけで良いのです。

それよりも、例えば「親の肩叩きをずっと続けてきた」とか「挨拶を積極的にするようにしてきた」といった、心から語れるエピソードの方が、ずっと説得力があります。人にはそれぞれ、その人らしい強みがあります。例えば「優しさ」が持ち味の人なら、身近な人を大切にしている話が、最高の自己PRになります。無理に立派な話を探すのではなく、日常の中から自信を持って語れる「自分に合った話」を見つけていくことが大切だと考えています。

 

フードコートでのお礼も立派なガクチカになる

── 「すごいガクチカがない」と悩む、脇役さんへのアドバイスはありますか?

藤井さん:私はよく、フードコートでお皿を下げる時に「ご馳走様でした」と声をかける話をガクチカに使っていました。誰にでもできる些細なことです。

そこで「なぜ自分はわざわざ声をかけるのか?」という深掘りをぶつけます。「相手の労働に対する感謝を形にしたい」「感謝こそが相手だけでなく自分も幸せになれる最高の手段なんだ」といった自分なりのオリジナリティを語れれば、それは立派なアピール材料になります。

特別な実績を新しく作る必要はありません。日常の何気ない行動に対して、どれだけ深い「なぜ」をぶつけられるか。 それが、脇役さんが就活で評価されるために必要な思考だと考えています。

 

倍率300倍のカゴメをを突破した差別化戦略

── 藤井さんは実際に、超人気企業であるカゴメの内定を勝ち取っています。就活の時、どのように「差別化」を意識されたのですか?

藤井さん:当時、カゴメの採用倍率は300倍を超えていました。普通に戦っても埋もれてしまうため、私はESの自由記入欄で「切り絵」を提出しました。

 

── 切り絵ですか?面白いですね!

藤井さん:カゴメといえばトマトなので、トマトの顔をしたサラリーマンのキャラクター「トマリーマン」を切り絵で作りました。そして、そのキャラに自分の強みを語らせる構成にしたんです。

切り絵を作るという、人と違う工夫をするだけではなく、ESの提出依頼が来たその日のうちに完成させて速達で送りました。人事の方から「あまりに早すぎて、システムの誤送信かと思ったよ」と言われるほどでした(笑)。

 

── 採用担当の印象に残るための戦略ですね。

藤井さん:他にも、面接が終わったらすぐにカフェへ駆け込み、手書きのお礼状を書いて、ホットアイマスクを同封し、速達で送っていました。

「やりすぎだ」と言う人もいるかもしれませんが、就活はマッチングです。自分の誠意を「重い」と感じる企業とはそもそも合わないし、逆に喜んでくれる企業とは相性がいい。

こうした行動に学歴や経験は関係ありません。ただ「やるか、やらないか」だけ。 そして、ほとんどの学生はやりません。就活は少しの努力で、評価に数倍の差が生まれると考えています。

 

藤井智也さんからのメッセージ「就活で人生は決まらない」

── 最後に、就活に励んでいる学生たちへメッセージをお願いします。

藤井さん:私は、「就活で人生は決まらない」 と考えています。新卒で入る会社は確かに大切ですが、実際に入ってみなければ分からないことの方が圧倒的に多いです。どれだけ準備しても、上司との相性や配属先など、避けられない「運」の要素が半分以上を占めるからです。

たとえ入社した会社が合わなかったとしても、努力によって道は開けていくものです。働いてみて初めてわかる価値観も多いため、最初の一社ですべてを決めようと気負いすぎる必要はありません。むしろ、その時々の状況に合わせて自分をアップデートし、変化に対応していける人こそが本当に強いといえます。

私自身、念願のカゴメに入社しましたが、商品力が強すぎて「自分の実力が試せない」と感じ、1年で退職しました。でも、その経験があったからこそ、就活のブログを運営し、本を出版することもできました。人生は、その時々の選択をあとから「正解」にしていくプロセスの連続だと思います。皆さんの就活を心から応援しています。ありがとうございました。

 

「就活の教科書」編集部 野口

「特別な実績がない脇役さんでも、思考の深さで勝負できる」という藤井さんの言葉は、多くの学生にとって救いになるはずです。

私も就活生に戻って、「なぜなぜ分析」をしてもう一度就活してみたいと感じました。

藤井さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!