「就活の教科書」編集部小林
こんにちは!「就活の教科書」取材チームの小林です。
本日は、山形大学でアントレプレナーシップ教育研究センター長を務められている小野寺忠司先生にお話を伺いました。
この記事を読めば、「アントレプレナーシップ教育って何?」や「起業することの重要性」について知ることができます。
「起業することに興味があるけどどうしたらいいかわからない、、」や「起業するには何が必要なんだろう?」などの悩みがある人は必見です!
「就活の教科書」編集部小林
小野寺教授、本日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
山形大学 小野寺忠司 教授
目次
小野寺 忠司(おのでら ただし)教授
山形大学 アントレプレナーシップ教育研究センター センター長
NECに入社し、コンピューター開発・企画を担当。NEC執行役員からLenovo役員へ就任。
Lenovo退職後、2022年4月に山形大学 アントレプレナーシップ教育研究センターを設立。
小野寺忠司先生にインタビュー①:アントレプレナーシップとは?
アントレプレナーシップ:「起業家精神」
「就活の教科書」編集部小林
さっそくですが、アントレプレナーシップとはなんですか?
アントレプレナーシップとは、「起業家精神」を意味します。ただし、単に起業するためのスキルを身につけるということではありません。
自ら課題を見出し、失敗を恐れずに挑戦し、自分なりの価値を生み出していく──そうした“行動する力”や“志”を育てる教育がアントレプレナーシップ教育です。
これからの日本を支える企業や社会の担い手を育てていくためにも、非常に重要な考え方ですね。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
アントレプレナーシップ教育は企業や社会の担い手を育成するための教育なんですね!
「起業家精神」をもつ人はどんな人?
「就活の教科書」編集部小林
起業家精神をもつ人というのは具体的にはどんな人なんでしょうか?
起業家精神をもつ人というのは、「挑戦的でリスクを恐れずチャレンジする精神をもち、独創的なアイディアを常に探求し続け、
目標に向かって積極的に実行出来る人」のことです。
私たちはそのような人材を育成することを目的としています。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
起業家精神をもつ人というのはチャレンジ精神に溢れていて、行動力のある人のことなんですね!
アントレプレナーシップはキャリア形成にも重要な考え方
今や多様性の時代で、自分のキャリアをちゃんと作っていく必要がある時代で一つの仕事で保証されるかっていうとなかなか難しいと思うんですよね。
今は大手でも、ここに就職すれば永久就職で給料も保証されるんだっていうところはなかなかないです。
やっぱり自分自身がちゃんと力を備えて、どんな状況においてもそのキャリアを違うところにしっかり応用できるっていうところをちゃんと考えていかなきゃいけない。
その選択肢をいっぱい持っててもいいわけです。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
確かに、就職したら大丈夫って考えるのも安全な考えではないですよね・・・
選択肢をたくさん持っておけば自分にとってのキャリアになるし、キャリアアップになる。
また自分にとっての次の糧になるし、力になる。
そういったことをアントレプレナーシップ教育は教えてくれるんですよね。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
アントレプレナーシップ教育は起業するためだけじゃなく、自分のキャリアを考える際にも大事なんですね!
アントレプレナーシップ教育によって養われるもの:マインドセットが8割
「就活の教科書」編集部小林
起業家を育成するための教育ということですが、アントレプレナーシップ教育によってどのような力が養われるんでしょうか?
アントレプレナーシップ教育の8割くらいがマインドセットなんです。
なぜマインドセットが大事かというと企画を戦略的に立てるというときに、「自分が成功させる」という意識、「最終的にどんな状況においても成し遂げるんだ」という強い意志が大事になってきます。
このように強い意志がない限り、横風がスッて吹いたときに自分の気持ちが折れてしまうんです。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
経営者になるためには、しっかりと自分の信念を持つマインドセットが大事なんですね!
マインドセットはどのようにして養われていくんでしょうか?
人生生きていると色々な苦境に携わりますよね。
そこを乗り越えるときに、その人自身でマインドがないと乗り越えて行けないんです。
特に仕事っていうものはそういうもので、色々な人とコミュニケーションをとって確信を持つ。
そして自分自身で納得して乗り越えていくということが重要だと思います。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
人とコミュニケーションをとることで自分の考えを確信していって乗り越えていくことで養われていくんですね!
小野寺忠司先生にインタビュー②:”起業する”ことへの考え方
学生でも起業しやすい環境
「就活の教科書」編集部小林
起業したいって考える学生はたくさんいると思うんですが、今は学生でも起業しやすい環境なんでしょうか?
自分のアイデアが一つでもあって、そのアイデアを共有する。
そうすると共感してくれて「いいね!やってみよう!」といって自分に対して”投資”してくれる人が世の中にたくさんいます。
それに対して挑戦するかどうかなんですよ。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
いざ「挑戦したい!」ってなっても、「失敗したらどうしよう…」と思ってしまってなかなか行動できなくなってしまいそうです・・・
起業して失敗するのが怖い:「失敗しても学生」
失敗してもあくまで”投資”なので、保証されてるんです。だからアイデアを試せる場であると考えていいんですよ。
僕が学生によく言うのは、『失敗したとしても学生』ということなんです。
本業はあくまでも学生なんだから、やってみて上手くいかなかったらまた学生に戻る。それでいいんですよ。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
起業するってなると色々考えちゃって結局やめてしまうことが多いと思うんですけど、とにかく「挑戦したい!」という気持ちが一番大事なんですね!
小野寺忠司先生にインタビュー③:どうして起業家の育成を?
日本経済が厳しい状況に陥っている
「就活の教科書」編集部小林
現在小野寺さんは山形大学でアントレプレナーシップ教育研究センターを立ち上げて、人材育成に力を入れていらっしゃるということなんですが、小野寺さんの経歴を拝見させて頂くとトップ企業の最前線で働かれていたのですよね。
どうして退職し、山形大学で今の事業をされているのでしょうか?
私はかつてグローバル企業で多くの先進的なプロジェクトに関わる中で、日本の競争力の低下を肌で感じました。
その中で、日本の企業自体が非常に厳しい状況に陥っていることを肌で感じました。
「このままだと日本は世界に相手にされなくなってしまうのではないか」という危機的な状況で、このままだと日本はどうなるか、日本でどう生きていくのかを考えたときに”やばい”と思ったのです。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
そこまで日本の経済が危機的状況であることを感じたんですね、、、!
日本をリードする企業を生み出すためには”教育”しかない
日本経済をどうするかということを考えたときに、日本としてやらなきゃいけないことは「教育」だと思ったんです。
国を支えるのは企業。そして企業を支えるのは人。だからこそ、人を育てる「教育」こそが日本の未来を創る鍵です。
日本経済を維持してさらに成長させて、未来の皆さんが楽しい生活をしていくための原動力を作らなきゃいけない。
日本はアントレプレナーシップ教育が始まったのはつい最近ですが、フランスやアメリカなど海外は進んでいて、”教育”として実装されているんです。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
アントレプレナーシップ教育がすでに教育として実装されている国もあるのですね。
小野寺忠司先生にインタビュー④:人材育成プログラム「i-HOPE」
「就活の教科書」編集部小林
小野寺さんが実際に行っているアントレプレナーシップ教育プログラムについて教えてください!
現在、主軸として行っているのが新規事業創出イノベーションプログラムです。
8ヶ月ほどのプログラムに参加していただいて、マインドセットからスキルセットに加えて実践的なことをやるっていうのはまさにこのプログラムですね。
実践的なこととして、グループを組んでフィールドワークも行います。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
プログラムの対象は学生のみなんでしょうか?
学生も社会人も参加できる:山形県外からも参加可能
学生はもちろん、企業に勤めている人も多く参加しています。
このプログラムには学生や企業の方も含めて、多い時は80名の方が参加しています。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
学生だけでなく、社会人からの参加もあるんですね・・!
山形県外からの参加もできるんでしょうか?
全講義をハイブリットまたはオンラインで開催しているため県外からも参加することができます。
東京の学生から多く参加が来たこともあります。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
私でも参加できるんですね・・・!
リアルな地域課題に触れる:グループでのフィールドワーク
「就活の教科書」編集部小林
フィールドワークというのはどのようなことを行うんでしょうか?
実際に山形県の過疎地域に行って課題解決に取り組むフィールドワークを行う実践的なカリキュラムになっています。
地域の課題をどのように解決していくか、それを解決するための手法を身につけていく。
さらにグループで様々な課題に取り組み、コミュニケーションをとって徹底的に学んでいくんです。
それによって自分自身がしっかり相手に説明できるような能力が身について、色んな人とのコミュニケーションによってコミュニケーション能力も高まっていきます。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
フィールドワークを通して、スキルセットに加えてコミュニケーション能力も高めることができるんですね!
一緒に取り組むグループの人はどのように決まるんでしょうか?
学生もいれば学校の先生や企業の方まで本当に様々な方が参加されるので、社会人と学生混合の全く初めましての人同士でグループになって課題に取り組んでいきます。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
初めましての人と課題に取り組んでいくのはとっても面白そうですね!
小野寺忠司先生にインタビュー⑤:アントレプレナーシップ教育における課題
若いうちからアントレプレナーシップ教育が必要
「就活の教科書」編集部小林
現在アントレプレナーシップ教育を行っている中で、課題に感じていることはありますか?
アントレプレナーシップ教育っていうのは、始めるのが早ければ早いだけ良いんです。
日本だと今始まってるのも早くても大学からなんですが、本来は小学校からアントレプレナーシップ教育を始めてビジネス感覚を身につけたいんです。
まだまだそこまで到達できていないというのが最大の課題ですね。
山形大学 小野寺忠司教授
アントレプレナーシップ教育を一つの教育として体系化させたい
アントレプレナーシップ教育自体が遅れてしまっているからなかなか難しいんですが、日本の一つの教育科目として実装されるのが一番良いのかなと思います。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
日本の教育の中で実際にビジネスに触れる機会が増えたら、キャリアについてももっと向き合いやすそうです・・!
小野寺忠司先生にインタビュー⑥:学生へのメッセージ
「就活の教科書」編集部小林
アントレプレナーシップ教育について詳しく教えていただき、ありがとうございました!
最後に、学生へのメッセージをお願いします!
可能性は無限大、一歩踏み出すかどうか
僕自身もそういう人生を歩んできたので、やっぱり可能性は無限大だと思います。
でも、わかっていても一歩踏み出せない、どうしたらいいかわからない人ばかりです。
その一歩を踏み出すために何かしらの影響が必要で、それがアントレプレナーシップ教育かもしれないし、コミュニケーションかもしれない。
その一歩を踏み出すだけで、その人の能力や才能が開花されていくんです。
山形大学 小野寺忠司教授
自分で決めたら、とことんやり抜く覚悟を持つ
皆さんの可能性は無限です。けれど、それを引き出すのは、最初の「一歩」です。
その一歩を踏み出すためには、ほんの小さなきっかけが必要です。
私はこれまでビジネスの現場で多くの挑戦に向き合ってきましたが、最も大切なのは「マインドセット」──すなわち、自分で 決めたら、とことんやり抜く覚悟です。
アントレプレナーシップ教育は、そうした強い意思を育てるための学びです。成功するかどうかよりも、「やる」と決めたことを貫けるかどうかが、未来を切り拓く力になります。
迷っているなら、まずは一歩踏み出してみてください。その一歩から、あなたの可能性が動き出します。
山形大学 小野寺忠司教授
「就活の教科書」編集部小林
私もどんどん色んなことに挑戦していこうと思います!
小野寺教授、本日は素敵なお話をたくさんありがとうございました!
⇨https://yu-entrepreneur.yamagata-u.ac.jp/