【インタビュー】神戸大学大学院服部泰宏教授 「コミュニティから一歩出る」 | スター社員になるために学生時代やるべきこと とは?

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この記事から分かること
  • 神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授にインタビュー
  • 「スター社員」とは遥かに高い成果を上げること周りから成果を上げる社員と認識されていること
  • 「スター社員」になるために、経験から学ぶことが重要
  • 成長するためにアルバイトでもフィードバックをもらおう
  • 心地の良いコミュニティ異なる知識や経験を持ったコミュニティに所属しよう
  • 学生時代は、心地の良いコミュニティから一歩外に出ることが重要

「就活の教科書」編集部 中島

こんにちは!

「就活の教科書」編集部の中島です。

本日は、「スター社員になるために学生時代やるべきこと」について、神戸大学大学院・経営学研究科教授、服部泰宏さんにインタビューをしました!

この記事を読めば、「スター社員」とは何か、「スター社員になるために学生時代やるべきこと」がわかります。加えて、「経験から学ぶことの重要性」「フィードバックのもらい方」もお伝えしていきますよ!

神戸大学大学院経営学研究科、教授の服部泰宏と申します。

本日はよろしくお願いいたします。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

神戸大学大学院経営学研究科・服部泰宏さんはこんな人!

神戸大学大学院経営学研究科・服部泰宏さんはこんな人!

服部教授

神戸大学大学院
経営学研究科 教授
服部泰宏(はっとり やすひろ)

1980年神奈川県生まれ。関西学院大学経済学部、神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了。2009年より専任講師として滋賀大学経済学部に勤務。滋賀大学経済学部 准教授、横浜国立大学大学院国際社会科学研究院 准教授を経て、2023年より現職。

目次


【服部泰宏教授インタビュー①】「スター社員」ってそもそも何?成果を上げている人じゃないの?

スター社員とは、「周りより遥かに高い成果を上げること」「周りから成果を上げる社員」と認識されている

「就活の教科書」編集部 中島

私は将来、活躍したいと思っています。

活躍している人を「スター社員」というそうですね。

「スター社員」はそもそもどのような人のことを指すのでしょうか?

「スター社員」は、二つの定義があります。

一つ目は、平均的に成果を上げる人よりも遥かに高い成果を上げるということです。

二つ目は、すごい社員だということを、みんながある程度理解しているということです。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

1つ目の遥かに高い成果を上げる人とはどのような人なのでしょうか?

例えば、サッカー選手が通常の野球選手や一般の人が2〜3点取る場面で10点を取るような、つまり他と比べて際立った成果を上げることです。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

平均よりも高い成果を上げていると「スター社員」と認定してもらえるのですね。

次に2つ目のポイント「すごい社員ということが、みんながある程度理解している」とはどのようなことを指すのでしょうか?

社員が周りから発見されているように、目立つような存在であるということです。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

 

スター社員の要因:「専門の能力」、「経験や背景があること」

「就活の教科書」編集部 中島

スター社員であることを周りがある程度認識していることも大事なのですね。

これまでの研究で明らかにされた「スター社員」に関する特徴について、何かご存じでしょうか?

はい。

まず一つ目のポイントは、その人たちがどのような能力や特性を持っているのか、という点です。

そして二つ目は、どのような経験や背景を持っているのか、あるいはどのような要因でそうした人物になったのか、という点です。

この二つが重要な要素と言えます。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

二つ目のポイントについて具体的に聞いても大丈夫でしょうか?

はい。

この部分を説明する前に資本という言葉の説明が必要ですね。

生まれつきの身長や容姿という、変えることのできない要素は資本とは言えません。

本当に大切なのは、知識や能力、あるいはつながりや人間関係など、努力や工夫次第で伸ばすことができるものです。

こうした、時間やお金をかけることで成長させられる要素こそを「資本」と呼びます。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

自分で変えられる要素を「資本」と言うのですね。

 

スター社員には「人的資本」、「社会関係資本」、「 心理的資本」が重要

スター社員、つまり活躍する人材に共通して関わっている要素が、少なくとも三つあると考えています。

人的資本(能力、知識、経験)、② 社会関係資本(つながり)、③ 心理的資本(心のしなやかさ、健全さ)です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

それぞれを具体的に聞いても良いでしょうか?

はい、大丈夫です。

1つ目の人的資本というのはその人が持っている知識経験です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

知識や経験がなければ活躍できませんね。

2つ目の社会関係資本とはどのようなものなのでしょうか?

社会関係資本とは「つながり」に関わる要素です。

人とのつながりや、人から信頼されること、さらには信頼できる相手を上手に見つける力など、こうした「つながり」に関わる要素です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

人との繋がりがなければ仕事ができないですね。

3つ目の心理的資本とはどのようなものなのでしょうか?

「心理的資本」とは自分に対して自信を持っているということです。

例えば、営業を具体例にしてみましょう。

営業を行った際に、お客様から大きなクレームを受けたり、商品が思うように売れなかったりした場合、多くの人は落ち込むのが当然です。

それ自体は自然なことであり、責められるものではありません。

実際、どんなに強いメンタルを持つ人でも、完全に動じないという人はほとんどいません。

しかし、落ち込んだとしても、翌日や次のお客様に対応する際には、気持ちを切り替えて回復できる能力が重要です。

効果的なストレス発散方法を知っていることや、「これくらいなら大丈夫だ」前向きに受け止められる楽観的な姿勢を持っていることが、その力を支える要素と言えます。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

【服部泰宏教授インタビュー②】「スター社員」になるために学生時代にやるべきこと:経験から学ぶ力が重要

しんどい経験をそのままにしないことが大事

「就活の教科書」編集部 中島

私は将来、スター社員になりたいと思っていて、

学生の今からでも準備をしたいと考えています。

学生の今からでもできることはありますか?

学生時代に学ぶ経験は何でも良いのですが、経験から学ぶことが重要になってきます。

経験してもそこから学ばないでしんどかったと終わってしまう人は、実は少なくないです。

タフな経験をすること自体が重要というわけではありませんが、その経験をどう学びに変えるかが大切です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

タフな経験をすること自体が重要ではないのですね。

驚きました。

 

経験から学んだことを考える習慣が重要

しんどい経験をした際に「ただ大変だった」で終わらせるのではなく、「ここから何を学べたか」を振り返ることが必要です。

アルバイトを具体例に挙げてみましょう。

アルバイトで、お客さんに不満を持たれたとき、

その原因を考え、次に活かす教訓を得ることができるかどうかです。

相手の立場を理解する中で「こうすると喜ばれる」「こうすると嫌がられる」といった学びを引き出せるはずです。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

アルバイトをしていて、私は意識ができていませんでした。

次から意識をしてみます。

学生のうちから、こうした経験に基づいて、振り返りをする習慣をつけておくことはとても大切です。

活動内容自体はアルバイト、ゼミ、サークル、どんな場面でも構いません。

たとえば、アルバイト中に普段は好意的な常連さんが突然怒ってしまった場合、「今日は自分の挨拶が疎かになっていなかったか」「何か小さなミスが積み重なって不快にさせてしまったのではないか」といった振り返りができます。

こうしたプロセスを通じて、成功や失敗を単なる出来事で終わらせずに学びの機会に変えていくことが重要です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

小さなことから振り返りができると、とても良いのですね。

 

営業などで活躍しているのも「振り返り」ができている人

この習慣を身につけている人は非常に大きな成長を遂げます。

たとえば、営業職で成果を上げている人たちは、初めての営業で得た教訓を次に活かし、2回目の経験を3回目に活かすといった形で、経験を積み重ねながら改善を続けています。

この積み重ねが、結果として大きな成果につながるのです。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

学生だけではなく、社会人になってからでも振り返りが大事なのですね。

経験を振り返らないと、どうなるのでしょうか?

ただの経験で終わってしまいます。

経験を振り返り、学びに変えなければ、それはただの経験で終わってしまいます。

経験を通じて成長するためには、自分の行動を振り返り、次に活かす力が必要です。

もちろん、経験そのものがなければ学べないことも多いですが、人間は日常の中で他者と関わりながら多くのことを感じ取っています。

その中で意識的に学び取ることが大切です。

タフな経験でなくても、自らの経験を振り返り、そこから得られる学びを見つめ直す時間を持つことが大事です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

ちなみに自分一人で振り返るのが難しい場合、どのようにしたら良いのでしょうか?

自分一人で振り返るのが難しい場合、信頼できる先輩や大人にフィードバックをもらったり、話し合ったりすることも有効です。

たとえば飲み会などで、自分の良いところや改善点について意見を聞くのも良いでしょう。

自分の経験を言語化することで、新たな視点が見えてくることもあります。

要するに、自分の経験をただの出来事で終わらせず、それを学びに変える習慣を持つことが、成長への鍵だと言えます。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

アルバイトでも失敗をした時に、「なぜ失敗をしたのか?」の振り返りをしてみます。


【服部泰宏教授インタビュー③】成長するために「フィードバック」をもらうことが重要?メリットはあるの?

話すと元気になれる人を探す

「就活の教科書」編集部 中島

私は今アルバイト長期インターンシップをしている中で、

ネガティブフィードバックをもらうことが大事だと思っています。

ネガティブフィードバックは良いことなのでしょうか?

ネガティブフィードバックは、難しいテーマです。

フィードバックというものは、他者に依存する部分が大きいです。

そのため、周囲に適切なフィードバックをくれる人がいる場合は良いです。

しかしネガティブなことばかり指摘してくる人ばかりだと、精神的に辛くなってしまうこともあります。

このバランスを取るのが難しいです。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

ネガティブなフィードバックばかりだと、やる気を失ってしまいます。

 

周りの人間関係の中で、自分にとって大切な存在を見極めること

そこで意識してほしいのは、周りの人間関係の中で、自分にとって大切な存在を見極めることです。

「この人と話すと元気が出る」という、ポジティブなエネルギーをくれる人、

「耳が痛いが、的確で有益なフィードバックをしてくれる人。」

この2つのタイプの人を頭の中で整理し、どちらも大切にすることが重要です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

ネガティブなフィードバック、ポジティブなフィードバック、両方が大事なのですね。

例えば、自分に余裕があり、課題を改善したいときには厳しいフィードバックをくれる人に話を聞きに行くと良いでしょう。

一方、心が弱っているときは、その厳しさが逆に負担になることもあります。

そのときにはポジティブなエネルギーをくれる人と会うようにするなど、

状況に応じて接する相手を選ぶことが大切です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

状況に応じてフィードバックをもらいにいきます。

これを実現するためには、いわば「人間関係の地図」を頭の中に作ることが有効です。

自分にとって必要なときに頼れる相手や、適切なアドバイスをくれる人を把握しておくことが重要です。

ただし、すべての人間関係をそのような目的で見るわけではありませんが、

いざというときに誰を頼れば良いかを判断できるようにしておくことが大切です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

 

学ばせるために言ってくれている人を大事にしよう

「就活の教科書」編集部 中島

必要なときに頼れる相手を探すことや、適切なアドバイスをくれる人を把握しておくことは重要なのですね。

厳しいフィードバックをもらう人の見極め方などはありますか?

特に厳しいフィードバックをくれる人が2種類いることを覚えておいてください。

一つは、ただ厳しいだけで自分を否定する人です。

もう一つは、厳しいが、その中に真実や学びがあり、自分を成長させようという意図を持っている人です。

この後者のタイプの人を見極め、大切にすることが必要です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

成長とさせてくれる人を見極めることが大事なのですね。

探してみます。

こうした人間関係は転職後や環境が変わった後も続くことが多く、一生涯の財産となり得ます

大学時代の友人や職場の上司なども含め、これらの関係を大切にしてください。

特に転職が当たり前になってきた現代では、環境が変わっても築いた良い人間関係を活かしていくことが重要です。

自分の人生における大きな財産として考え、そうした人々とのつながりを大切にしてください。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

【服部泰宏教授インタビュー④】成長するためには1つのコミュニティにいてはダメ:外との交流を作るとは?

まずは心地の良いコミュニティを持っておくことが大事

「就活の教科書」編集部 中島

学生生活を過ごしていく中で、どうしても心地の良いコミュニティにずっといてしまいます。

心地のよいコミュニティにずっといてしまうのは良いことなのでしょうか?

少し難しい質問ですね。

まずは一つ心地の良いコミュニティに属しておくことが重要になってきます。

このような仲の良い友人や職場の同僚たちとのコミュニティは、

自分を脅かすことがなく安心感を与えてくれるため、非常に大切になってきます。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

自分が安心できるコミュニティを一つ持っておこうという気持ちになりました。

ただし、こうしたコミュニティは現状維持を優先しがちで、必ずしも新たな挑戦や知的な刺激をもたらすわけではありません。

そのため、自分を成長させるためには、もう一つ別のコミュニティを持つことも重要だと思います。

例えば、自分には到底敵わないと思わせるような人々や、異なる知識や経験を持った人々がいるコミュニティです。

彼らとの交流は必ずしも「気が合う」というわけではなくても、新しい刺激や発見を与えてくれる場となります。

このような多様な関わりがあることで、心の安定はコンフォートなコミュニティに依存しつつも、知的な刺激やエネルギーを別の場から得ることができるのです。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

確かに新しいコミュニティに属していると得られるものが大きい気がします。

また、人間関係は時に予測不可能な形で崩れることもあります。

もし、一つのコミュニティに依存し過ぎてしまうと、その関係が壊れたときに居場所を失い、精神的に大きなダメージを受けることになるかもしれません。

そうならないよう、いくつかのコミュニティを同時に持ち、大切にしておくことが必要だと思います。

それは「保険をかける」という意味ではなく、多様な繋がりを持つことで自分の心や人生をより健全に保つための方法です。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

多様な繋がりを持つことで、自分の心や人生がより健全に保てるようになるのですね!

参考になります。


キャリアに悩む学生へのメッセージ

「就活の教科書」編集部 中島

最後、就活生に向けて一言をよろしくお願いします。

「異質なものに触れたり、普段の快適な環境から一歩踏み出してみる経験を大切」にしてみてはどうでしょうか。

もちろん、私たちは心地よく信頼できる仲間と過ごす時間が大切であり、それが心の支えになることは間違いありません。

しかし、こうした安心できる環境に安心しすぎると、成長が止まってしまうこともあります。

そのため、自分を高めるためには、あえて少し違和感を感じるようなコミュニティや状況に身を置くことも重要です

この『違和感』というのは、必ずしもネガティブなものではなく、自分に新たな刺激を与えてくれる良質な違和感です。

例えば、自分と全く趣味が違う人、異なる価値観やライフスタイルを持つ人、あるいはこれまでの友人や仲間とは異なるキャリアパスを選んでいる人などとの関わりが該当します。

自分に害のない範囲での『良質な違和感』は、心に無理をかけることなく成長を促してくれる貴重な存在です。

こうした異なる視点や価値観を持つ人々との繋がりをぜひ大切にしてほしいと思います。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授

「就活の教科書」編集部 中島

勇気をくださるお話、ありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

神戸大学大学院経営学研究科 服部泰宏教授