【社長インタビュー】日本フードエコロジーセンターの髙橋巧一様 | 食品ロス事業について

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【社長インタビュー】日本フードエコロジーセンターの髙橋巧一様 | 食品ロス事業について

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

ジャパンSDGsアワード最優秀賞(2018)を受賞した、余った食品を発酵飼料にするエコフィードに取り組む株式会社日本フードエコロジーセンター。
代表取締役の髙橋巧一さんにインタビューをお受けいただきました。
社会貢献の想いが人一倍強い髙橋さんに、食品ロス問題や会社の想いについて伺いました。

 

日本フードエコロジーセンターの事業内容について

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

事業内容について教えてください。

食品工場、スーパー、百貨店で売れ残ってしまったものを殺菌・発酵処理をして、液体状の豚の餌を作る工場を運営しています。
食品会社の多くが焼却炉で燃やしていますが、焼却炉よりも安い処理費で当社に食品廃棄物を持ち込んでいただいています。
食品工場が使う民間焼却炉は1キロ約50円、スーパーや百貨店などが使う自治体焼却炉は1キロ5~60円とピンキリです。
食品廃棄物を我々の技術で餌に作り替え、通常の配合飼料よりも安い費用で養豚農家に販売しています。
食品廃棄物のほとんどが税金を使って燃やされており、私の試算では年間8,000億円くらいの税金が使われています。
一般家庭のものを燃やすのに税金が使われているのはよく知られていますが、コンビニや百貨店のものまで自分たちの税金を使って燃やされていることはあまり知られていません。
当社がやればやるほど税金が軽減され、環境負荷も低減され、食品会社も養豚農家もコスト削減ができ、当社は両方からお金をいただくので安定的な雇用を生み出すことが出来ます。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

 


日本フードエコロジーセンターが食品ロス事業を始めた理由

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

なぜこの事業をしようと思われましたか?

小学5年生の時に「獣医師免許を取って環境問題に取り組む」という作文を書いていて、小さい頃から興味がありました。
大学で獣医学科に入りNGOやNPOの活動をしているうちに、環境問題は食糧問題とエネルギー問題の2つが直結していると考えました。
ハンバーガーを食べるために熱帯雨林が破壊され牧草地が切り開かれたり、化粧品や石けんを作るために東南アジアにアブラヤシを植えてパーム油をとったり。
食糧問題の根幹には、先進国が自然破壊をして食料を途上国から搾取する構図があります。
多様な自然が壊され、地域の人たちが食べられなくなり移民・難民問題にまで発展しています。
そのような食料問題に取り組んでいく必要があると感じたので、「食品ロス」というキーワードで第一ステップとして今の事業をしています。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

食品ロスの原因は何ですか?

生産・流通・小売・消費者など全てのステークホルダーに課題がありますが、私は一番の原因は消費者だと思います。
消費者が色のきれいなものや傷ついていないものを求めすぎると、流通途中で少しでも傷がついたものは、スーパーや百貨店が並べないようにします。
一部の人が「なんで傷ついているトマトが並んでいるんだ」とスーパーにクレームを入れますが、9割以上の人はその傷が気にならないので何も言いません。
そうすると、流通側は「これが消費者の意見だ」と勘違いしてしまいます。
ですので、消費者の方から「ちょっと見栄えが悪いものはわけありコーナーを作って値引きして売ったらどうか」と発信することで、店側も「そうすれば消費者が喜ぶのか」となります。
店側はコストダウンになり、消費者はサービスがよくなるのでお互いwin-winです。
今の時代はコミュニケーションがなく、消費者と流通側のギャップが生まれています。
昔は商店街の八百屋さんが、「このトマト形悪いけど今が旬だからこうやったら美味しいよ」というような食育があったんですよ。
今は大きなスーパーにものが並んでいるだけで、見栄えでしか消費者が判断できなくなっています。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

 

髙橋巧一さんが考える「食品リサイクル業界の課題」について

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

食品リサイクル業界の課題について教えてください。

課題だらけですが、法律の壁や規制の問題が大きいですね。
私は毎週霞が関に行って環境庁や農水省などと話しますが、日本は規制でがんじがらめです。
法律が50年前くらいに作られたものばかりで、結局そこがネックになっています。
現場の声を上げていかないと世の中いい方向に行かないので、私の今の仕事の8割ぐらいは法律を変えたり、新たな施策をつくることです。
当社は廃棄物処理業であったり、飼料製造業であったりするので、経済産業省でいうと産業分類に当てはまりません。
新しいビジネスはいろんな許認可が必要になりますが、当社のようなところが許可を取るために全うな手続きをすると3年ぐらいかかります。
3年間毎月200万円の工場の空家賃を払うのは厳しいですよね。
そういうところを直していかないと新しい持続可能な社会作りは難しいです。
例えば、当社は焼却炉と比べられるので、ライバルが自治体になってしまっています。
それはおかしいという話を審議会の中でしたことで、去年初めて環境省が焼却誘導ではなく、リサイクルが進めるために、焼却の場合は適正価格を取るようにという通達を出しました。
食品リサイクル法が2001年にできてから十何年も誰もここにメスを入れなかったのは、審議員の研究者や大学の先生はこの実態がわからないからです。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

リサイクル業は赤字が多いと聞きますが、それはなぜですか?

リサイクルは最初ロット(生産・出荷数)が少ないので、ある程度生産量が増えないとコストダウンできないからです。
本当は国が施策で何らかのインセンティブを与えたり、消費者も理解した上で積極的に取り組んだりすることが必要です。
例えば食品リサイクルだと、食品は水分が多く腐りやすいので、それを防ぐためには乾燥化しないといけないです。
20年前に私が取り組み始めた当時は、食品廃棄物を乾燥化してたい肥や飼料にしていました。
しかし、乾燥化は膨大なエネルギーを使うため、コストが上がっていきます。
これが「リサイクルは高い」となる典型的な例ですね。
そこで、納豆や漬物のように水分が多くても腐らない発酵の技術を使って餌を作ればいいのではと思い、農林水産省と一緒に研究を始めました。
結果リキッドフィーディングという液体状の飼料開発に成功し、農林水産大臣賞をいただきました。
今は日本の950万頭ぐらいいる豚の100万頭くらいはリキッドフィーディングに変わっています。
1割以上がリキッドフィーディングをされていますが、みなさん当社を見に来られています。
無料で教えて、見学者であれば写真も動画も全部許可しています。
当社はそれで儲からないですが、社会問題がどんどん解決して世の中がいい方向に向かえばいいと思っています。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

社会貢献の想いが一番強いのですね。

そうですね。
今よく言われる「持続可能な開発」というのは、私が学生時代に仲間と行った地球サミット(リオ,1992年)で提唱された言葉でした。
その時我々は、自然と人間が共存して持続可能な社会を作る取り組みは必要だよね、ととても盛り上がりました。
しかし、それがいつの間にかCSRのような言葉に置き換わり、企業が広告戦略の一部に使うような形になってしまいました。
残念に思っていたところ、2015年に国連がもう一度その言葉を使い、今度は具体的に目標が設定され、やっときたかと思いました。
本質的なところを捉えられていない企業があまりにも多いので、毎週企業の講演会もやっています。
当社を上場させる気は全くないので、そういう活動でいろんな企業や社会がいい方向に向かっていくことを目指しています。
また、日本の学習指導要綱にもSDGsが組み込まれてきています。
2020年から小学校の教科書、2021年から中学校、2023年からは高校の教科書にも入ります。
文科省の方針は、現代社会の課題を理解し、問題解決能力を養っていかなければ人間力が磨かれないという風に変わってきています。
修学旅行で当社の工場見学に来られる学校もここ3、4年増えていますね。
大学生は毎年5、6人当社のことを卒論で書いてくれたり、学会でも論文が100本くらい出てたりします。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

 

                                                   

日本フードエコロジーセンターの今後のビジョンについて

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

今の会社のフェーズと今後のビジョンについて教えてください。

第一フェーズがそろそろ終わり、第二フェーズになるかなという位置づけです。
今は食品会社から良い原料だけを厳選して、良い餌を作る取り組みをしています。
今後は餌に向いていない脂っぽいものや食べ残しをメタン発酵させて、バイオガスというエネルギーを作り出していこうと考えています。
なので、次のステップはエネルギー工場を作ることです。
その次の展開としてはサステナブルファームを進めています。
餌や肥料を全て国内で受給し、販売から調理、食育や環境教育などの体験学習までできるような仕組みを作っていきます。
去年から養豚場の運営を始めていますが、10年計画で構想しています。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

 

日本フードエコロジーセンターで働かれている人について

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

どういう方が働かれていますか?

全体は35~36人、正社員は15~16人います。
パートの方は元学校の先生だったり、元駅長だったり、どうせ働くなら社会貢献になることをしたいという想いで働かれています。
新卒採用は8年間誰も辞めていないですね。
今やっている仕事の意味を実感してくれているのではないかと思います。
やっている仕事がどれだけ社会に貢献しているかを私も朝礼や社員会議でいろんな角度で話しますし、毎日のように見学者やメディアが来ることも、それほど社会から注目されているという意識に繋がっていると思います。
1年目は、現場の食品廃棄物を殺菌・発酵処理をして液体状にする作業をみなさんにしてもらいます。2年目以降は適性を見極めながら仕事を振り分けていきます。
自ら動ける人間は私にどんどん提案してきます。
例えば社会福祉士を持っている社員の提案によって、障がい者の就労支援の会社と契約し、障がい者の方にパンの袋を破くなどの作業をしてもらっています。
従業員のポテンシャルと会社の生産効率向上をいかに合わせられるかが大切ですね。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

 


日本フードエコロジーセンターの求職者へのメッセージ

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

求職者に向けてメッセージをお願いします。

やりたいことがあればそれを目指してやればいいですが、漠然としている人はこのタイミングで10年20年先の自分の未来像を描くべきだといつも伝えています。
長期ビジョンを描き、戦略を考え、会社を選ぶ。
その会社で1年目はどうする、3年目はどんなライセンスを取るなどを描きましょうと。
経験を積んでいくうちに夢が変わってもいいと思います。
やってみないとわからないし、ビジョンを描いていないとそういうことは見えてこないです。
今の時代、一つの会社で一生働いていくっていう考えはほとんどないじゃないですか。
私は環境問題がやりたかったのですが、最初は経営コンサルティングや従業員教育の会社にノウハウを勉強したくて入社しました。
それが今の武器になっていますし、当社の新入社員教育はその会社にお金を払ってやってもらっています。
このように、まずは自分の武器をつくることが大切だと思います。
例えば、イラストが得意な子だったらイラストレーターになるのではなく、会社に入ってホームページのイラストを作れば良い。
環境問題に取り組みたければ、旅行会社に入って旅行主任の資格を取ってスペシャリストになってからツアーに切り込んでいけば良い。
その後NGOやNPOに入れば、それが社会の方向性と自己実現に繋がるので、そういう就職を考えなさいと学生さんには話しています。
持続可能な社会を作っていきたい、社会課題を解決していきたいと考えている方は一度当社を見に来て、相談してもらえればと思います。

日本フードエコロジーセンター 代表取締役 髙橋巧一 様

「就活の教科書」編集長 岡本恵典

お忙しい中、ご協力いただきありがとうございました。

 

株式会社日本フードエコロジーセンターについて

会社名 株式会社日本フードエコロジーセンター
本部所在地 〒252-0245
神奈川県相模原市中央区田名塩田一丁目17番13号
代表取締役 髙橋 巧一
資本金 20,000,000円
事業内容 食品リサイクル事業(廃棄物処理分業、飼料製造業、その他)
ホームページ https://www.japan-fec.co.jp/
ミッション 「食品ロス」に新たな価値を。