【インタビュー】大和大学社会学部 天野健作教授|学生主体で社会課題に取り組む“株式会社ヴェリダス”とは?

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「就活の教科書」編集部野口

こんにちは!「就活の教科書」取材チームの野口です。
本日は、大和大学社会学部の天野健作教授にインタビューしました。

天野先生、本日はよろしくお願いします!

よろしくお願いします!

天野健作 教授

Profile

天野健作

天野健作(あまの・けんさく)
大和大学社会学部教授
SDG研究推進室代表
株式会社ヴェリダス代表取締役

1974年愛知県豊田市生まれ。同志社大学法学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了(国際協力学博士)。
元新聞記者として約20年間にわたり環境省や原子力問題などを取材した経験を持ち、その実務経験を生かして研究や教育を実践している。専門は地球環境学や国際水資源などで、大学では環境社会学や国際社会学などの授業を担当。
また、学生と設立した大学ベンチャー「株式会社ヴェリダス」を通じて、社会貢献活動にも力を入れている。

 

大和大学社会学部 天野健作教授にインタビュー①:「株式会社ヴェリダス」設立の背景・目的

学生が社会課題に関わりながら学ぶための場「株式会社ヴェリダス」を設立

「就活の教科書」編集部野口

さっそくですが、「株式会社ヴェリダス」はどのように設立されたのか教えてください。

2022年4月に「SDG研究推進室」を立ち上げました。
そこで学生がチョコレートやラーメンなどの社会実践をしたいという企画を出してきました。
しかし、研究室は法人ではないため契約やお金の管理ができず、社会実践の活動母体として「株式会社ヴェリダス」を立ち上げました。私は代表取締役ですが、運営は基本的に学生主体です。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

学生の声を元に、会社を設立されたのですね。

現在は7つのユニットがあり、チョコレートユニットでは、ベルギーからの輸入時に傷や賞味期限の近い商品を安く仕入れ、フードロスの削減を目的に販売しています。
ラーメンユニットでも、市場で売ることのできない規格外の玉ねぎや煮干しを活用して商品化しています。
他にもコーヒー、防災用品、アパレルなど、多様なユニットを学生主体で運営しています。

利益はウクライナ支援団体への寄付や次のビジネスに活用しており、私自身は報酬を受け取らず、むしろ持ち出しが多い状態です。
学生が社会課題に関わりながら学ぶための場として、この企業と研究室を両輪で運営しているという経緯です。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

学生のSDGsに対しての取り組みの幅を広げるという狙いで“株式会社を立ち上げる”という方法に至ったのでしょうか?

法人化にはNPOや一般財団法人などの方法もありますが、規制が多く自由に動きにくいため、グローバル展開や企業取引のしやすさを考えて株式会社にしました。

株式会社として法人格を持つことで、世の中や他社に認められ、制度面でもスムーズに活動できるようになっています。

天野健作 教授

 

意欲と能力の高い学生が主体となって経営

「就活の教科書」編集部野口

会社の経営のための知識や手法を、どのように学生に伝えられましたか?

私は経営や簿記は素人でしたが、3年半前に経理担当の学生を決め、その学生が簿記2級を取得し、決算や国税局への報告方法を学んでマニュアル化しました。
各ユニットの経営担当者もそのマニュアルを使って決算書を作成しました。

意欲と能力の高い学生が主体となっていることで、学部設立間もない環境でもうまく運営できたと感じています。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

言われたことをただこなすのではなく、学生自身が経営について学んでマニュアル化したというのが素晴らしいですね。

学生ベンチャーということで、意欲的な学生が集まっているのですね!

 

経理や広報、企画などの役割も学生が担当

「就活の教科書」編集部野口

主にどんな学生が参加し、どのような活動を行なっているのでしょうか?

社会学部の2年生から4年生まで、約70人がこのプロジェクトに所属しています。
希望者は学業成績や出席状況、志望動機などを踏まえた二段階の審査で選ばれ、意識の高い学生が集まっています。

7つのユニットにはそれぞれマネージャーを置き、経理や広報、企画などの役割も学生が担当しています。
私はサポート役に回りながら、損益管理や契約など会社として必要な指導を行っていますが、基本的には学生主導でイベントの企画や交渉も進めてもらっています

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

普通の会社と同じように、経理から広報まで学生が担当しているなんてすごいですね。

学生は社会と接点を持ちながら活動するため、責任感を持たせる仕組みを作っています。

基本的に活動は学生主導ですが、社会人としての責任を持てる環境を整えるのが私の役割です。

例えば子供食堂に携わるユニットやラーメンを提供するユニットでは、学生がメニューや運営を考え、私は営業許可や保険加入など安全面や賠償対応の最低限の仕組みを整えています。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

学生の頃から、実践的に社会人として活動できる環境を通して大きく成長できそうですね!

実際に参加した学生からはどのような声がありますか?

今年、社会学部創設5年目で初めて卒業生を送り出しました。

卒業生からは「このプロジェクトに参加していなければ、今の会社には入れなかった」という声が聞けました。
学生時代に力を入れたこととして、ラーメンのイベントを一から立ち上げ、仕入れや損益管理まで行った経験は、就職活動で他の学生との差別化につながり、面接でも非常に評価されたそうです。

こうした成果は、「プロジェクトを学生の将来に役立てたい」という目的通りに進んでいる証だと思います。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

学生時代から、会社経営に携わったという経験は就職活動でも高く評価されそうですね。

 


大和大学社会学部 天野健作教授にインタビュー②:「株式会社ヴェリダス」での活動

大阪関西万博にも参加:SDGsに関連するイベントをパビリオン内で実施

「就活の教科書」編集部野口

今までのプロジェクトで印象に残っているものはありますか?

最近は、大阪関西万博に参加し、SDGsに関連するイベントをパビリオン内で実施しました。
フードロス削減のクイズや防災のものづくり、子ども向けの魚釣りゲームなどをブースで展開し、来場した子どもたちや外国人の笑顔をたくさん見ることができました。
学生たちは英語での交流も行い、主体的に運営に取り組んでいました。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

万博にも参加されていたのですね!
学生が実際に運営にも取り組み、英語での交流も行なっているのですね。

 

グローバル展開も:学生主体で社会貢献を実践するプロジェクト

また、香港大学では学生が英語でラーメンプロジェクトを発表する機会があり、中学校レベルの英語力の学生でも一週間必死に準備し、仲間と協力して達成しました。
ワルシャワ大学やオーストリアの大学など、海外の大学ともコラボし、セミナーやシンポジウムを行うなど、グローバル展開も進めています

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

「社会貢献」のプロジェクトを多方面に展開され、日本だけでなく、海外での展開も進められているのですね。

さらに、3月7日を「みんなの日」として記念日に設定しています。
バレンタインデーとホワイトデーの間に、誰もが誰にでも感謝できる日を作ろうという趣旨で、障害者施設でチョコやコーヒーの販売イベントを実施し、フードロスや多様性の意識啓発にもつなげています。

こうした活動は、学生主体で社会貢献を実践するプロジェクトの成果として、大きな印象に残っています。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

誰もが誰にでも感謝できる日って、素敵ですね。

 

企業とのプロジェクト:「ハニカム広場」

また、新しい取り組みとして、「ハニカム広場」という公園を作りました。

不動産会社の方から「ぜひ一緒にやろう」と声をかけてもらったのがきっかけです。
私たちは、子どもが自由に遊びながら想像力を伸ばせる公園を作ろうと、都市政策や環境、歴史など各専門家と一年半ほど話し合い、六角形の構造をベースに陣地取りゲームなどもできるデザインにしました。
名前は、蜂の巣の意味と笑顔のハニカムをかけて「ハニカム広場」としました。
5月のオープニングでは、地域の子どもたちと大学生が交流する青空教室を開き、大変印象的でした。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

不動産会社ともタッグを組まれるのですね。

この3年間のプロジェクトでは、多くの企業や自治体、地域と関わる機会も増えました

特に昨年4月から今年2月までは、吹田市役所の地下でSDGsにかかわる『すいたぶるラーメン』を学生主体で販売。
フードロス削減に取り組みながら、美味しいラーメンを作るという体験を通して、学生が企画・運営を学びました。
大規模イベントでも、学生主体での出店が実現し、すべて完売しました。

この活動は関西のテレビ局や新聞社にも取り上げられ、想定以上の社会的注目を集めました
さらに2025年3月には大阪府から「おおさか環境賞」、農林水産省や環境省からも「サステナアワード」をいただくなど、学生の努力が公式に評価され、大きな成果を感じています。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

企業や自治体と関わることで、さらに成果を上げて注目を得ているのですね。

 

大和大学社会学部 天野健作教授にインタビュー③:「株式会社ヴェリダス」の今後の展望

利益追求よりも、社会貢献や社会発信をさらに強化

「就活の教科書」編集部野口

「株式会社ヴェリダス」の今後の展望を教えてください。

当初の目標であった大阪関西万博での活動は達成できたので、ここで一度総括し、次のフェーズに進めたいと思っています。

株式会社ヴェリダスとしては利益追求よりも、社会貢献や社会発信をさらに強化していく方針です。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

具体的な取り組みとしてはどのようなものがありますか?

具体的な取り組みとして、まず「お米」に関するプロジェクトがあります。
スーパーから一気にお米が消え値段が倍になるなど課題が出ている中、淡路島の農家と提携し、学生が現地で農家や市役所と協力して問題解決に挑戦します。
10月には収穫体験を行い、3月末までに提案や報告書をまとめる予定です。

次に、ラーメン事業のグローバル展開です。
これまで香港での販売経験もあり、ラーメンを日本の食文化として海外に発信したいと考えています。
学生たちが立ち上げた「国際ラーメン学会」を拡大し、来年にはラーメン本の出版も目指しています。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

現代の大きな社会問題に取り組んだり、グローバル展開の本格化を進められるのですね!

 

新たなフェーズで社会貢献プロジェクトを拡大

さらに、宇宙分野への挑戦も始めています。東京理科大学と連携し、宇宙デブリ回収や宇宙環境の持続可能性を実験的に研究。
大和大学には実験施設も整備予定で、学生たちが宇宙レベルでの課題解決に関わる機会を作っています。

万博終了後は、これまでの三年間の成果を総括し、新たなフェーズで社会貢献プロジェクトを拡大していく計画です。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

聞けば聞くほど、多方面でのプロジェクトに驚きます…

今後の活躍も楽しみですね!

 


大和大学社会学部 天野健作教授から就活生へのメッセージ

「就活の教科書」編集部野口

天野先生、ありがとうございました。

最後に就活生に向けてメッセージをお願いします!

面接官が本当に見ているのは「その人の熱量や本気度」

私も以前、企業で面接官を経験しました。その経験から言うと、面接官は非常に冷静です。
短い15分程度の面接でも、これまでしっかり目標や計画を立て、努力して奮闘してきた人と、表面的に取り繕っている人はすぐにわかってしまいます。

面接では、「サークルやアルバイトの話だけでは落ちる」という都市伝説もありますが、本当に重要なのはその人の熱量や本気度です。
取り繕おうとしても、経験のないことや努力のないことは面接官には伝わります。

だからこそ、面接では自分がこれまで取り組んできたこと、考えて行動したことをありのままに話すことが大切です。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

学生は就活のためにガクチカを“作る”ことに力を向けてしまいがちですが、本当に大切なのは、学生時代に“どう向き合ったか”が重要なのですね。

 

自分らしさを大切に、前向きに挑戦を続ける

就活で背伸びする必要はありません。
自分の身の丈に合った会社、自分が本当に力を発揮できる場所を探すことが大切です。

日本には数十万、もしくは百万以上の会社があります。たとえ何社か落ちても、それは一つの経験に過ぎません。
落ち込む必要はなく、あなたが必要とされる場所は必ずあります。ただ、まだ出会えていないだけなのです。

倍率が高い会社もあります。通過すればラッキーくらいに考え、自分のペースで行動を重ねることが重要です。

就活で必要なのは、失敗しても後ろを振り返らず、常に前を向き、努力を惜しまないことです。

就活は一度きりの勝負ではなく、人生全体の中の一ステップです。

大切なのは「これまでの自分の経験や努力を信じること」「前に進み続けること」です。

落ちても、悔しくても、それは学びです。自分に合った会社、環境、人との出会いを信じて、前向きに挑戦を続けてください。

天野健作 教授

「就活の教科書」編集部野口

素敵なメッセージをありがとうございます。

天野先生、本日はありがとうございました!

天野健作|大和大学

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