- 豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授に、「アントレプレナーシップ教育」についてインタビュー
- アントレプレナーシップ教育とは、新しい事業や価値を生み出す教育
- アントレプレナーシップ教育は、起業を志す方だけでなく、企業就職を目指す方にもおすすめ
- アントレプレナーシップ教育を受ければ、目指すべきキャリアを見抜く力が身に着けられる
- アントレプレナーシップ教育は、「平和な会社生活」が送れない今こそ必要
- アントレプレナーシップ教育を学ぶ第一歩として、「自己理解力」が重要
- アントレプレナーシップ教育では、社会人基礎力が身につき、就職活動にも活きる
こんにちは!「就活の教科書」編集部のじゅりです。
本日は「アントレプレナーシップ教育」について、豊橋技術科学大学の特定准教授、土谷徹さんにインタビューしました!
この記事を読めば、「アントレプレナーシップ教育」とは何か、どんな成長ができるのかが分かります。加えて、「アントレプレナーシップ教育を受ける方法」などもお伝えしていきますよ!
「就活の教科書」編集部 じゅり
目次
豊橋技術科学大学
研究推進アドミニストレーションセンター 特定准教授 (主任URA)
土谷 徹(つちやとおる)
北海道生まれ。1991年に豊橋技術科学大学大学院電気・電子工学専攻修士課程を修了。2000年に工学の博士号を取得。修了後、富士フイルムにて研究者として従事。フィルム事業の崩壊を経験する。2011年に豊橋技術科学大学エレクトロニクス先端融合研究所特任准教授を経て、2013年より現職。
学生のうちに学ぶべき!アントレプレナーシップ教育とは
アントレプレナーシップ教育とは、新しい事業や価値を生み出す教育
学生のうちに、何かを身に着けて社会に出たい!とは思うのですが、今学ぶべきことなどあったりしますか?
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
学生の皆さんにぜひ取り組んでほしい学習として、「アントレプレナーシップ教育」というものがあります。
「アントレプレナーシップ教育」とは、新しい事業や価値を生み出す教育のことです。
「アントレプレナーシップ教育」を受けることで、不安定な時代を生き抜くための社会人基礎力を身に着けることができますよ。
新しい事業や価値を生み出す教育なんですね!
ということは、ベンチャー企業などを立ち上げる、起業者向けの学問なのでしょうか?
「就活の教科書」編集部 じゅり
アントレプレナーシップ教育を受ければ、目指すべきキャリアを見抜く力が身に着けられる
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
「アントレプレナーシップ教育」は、ベンチャー企業などを立ち上げる、起業を目指すものと勘違いされがちですが、そうではありません。
起業を志す方だけにとどまらず、企業就職を目指す方にも役立ちますよ。
そうなんですね。
なぜ、アントレプレナーシップ教育は、企業就職を目指す人にも役立つのでしょうか?
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
アントレプレナーシップ教育では、自分が実現したい未来を考える力が身に着けられるからです。
アントレプレナーシップ教育では、アイデアを生み出す方法や、求める未来像を考えます。
そのため、ご自身の理想の未来・キャリアが自然と見えてくるのです。
「自分は起業を目指すべきなのか?それとも、企業就職を目指すべきなのか?」を見抜けられるようになり、キャリアを切り開くきっかけになると思います。
アントレプレナーシップ教育は、将来を考えるきっかけにもつながっていくんですね。
「就活の教科書」編集部 じゅり
アントレプレナーシップ教育はなぜ必要?メリットはあるの?
- 「平和な会社生活」が送れない今こそ、アントレプレナーシップ教育は必要
- メリット①:AIが発達する社会を生き抜くために必要な「未来創造力」が手に入る
- メリット②:社会が求める新たな発想を生み出せる人になれる
「平和な会社生活」が送れない今こそ、アントレプレナーシップ教育は必要
アントレプレナーシップ教育は、目指すべきキャリアを見抜いたり、新しい価値を生む出したりするうえで、非常に重要なんですね!
でもなぜ、最近になってアントレプレナーシップ教育が必要だといわれるようになったのでしょうか?
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
アントレプレナーシップ教育が求められる背景として、社会の変化があるでしょう。
以前までは年功序列や終身雇用などを通じて「平和な会社生活」を送れる人がほとんどでした。
ですが、今では常に新しい変化が求められ、古いタイプの指示/命令待ちの人材よりも、自ら何かを生み出す人材が求められるようになったのです。
私自身も、レールにさえ乗っていれば、生きていけるような社会ではなくなっているように感じています。
社会が求める人材像が変化しているからこそ、アントレプレナーシップ教育のような新しい風を吹き込むことが重要なんですね。
「就活の教科書」編集部 じゅり
メリット①:AIが発達する社会を生き抜くために必要な「未来創造力」が手に入る
アントレプレナーシップ教育を通じて、どんな人を目指すことができるようになるのでしょうか?
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
アントレプレナーシップ教育を受ければ、AIにはできない「未来創造」ができる人材になれると思います。
昨今、「課題解決力」を鍛えよう!という取り組みをよく目にします。
ですが、現在はAIがあらゆるデータを掌握し、ビッグデータで処理する時代です。
課題解決を鍛えたとしても、いずれ人間はAIにかなわなくなるんです。
AIに情報さえ与えれば、課題を解決する方法はいくらでも見つかりますもんね…。
ChatGPTなどを使うと実感します。
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
ですが人間は、AIには持てない「未来創造力」を持つことができます。
アントレプレナーシップ教育では、「未来はこうであってほしい」や「〇〇な未来を作り上げたい」などを考える力が身につけることができるんです。
当然、ご自身が考える未来と今の間にはギャップがあるじゃないですか。
そのギャップを埋めるのが本質的な課題なんです。だからこそ、未来創造力を持つ必要があるんです。
AIにはできない、「未来への理想」を考える力を身に着けることで、AIが台頭する世の中を生き抜いていけるということなんですね!
「就活の教科書」編集部 じゅり
メリット②:社会が求める新たな発想を生み出せる人になれる
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
また、アントレプレナーシップ教育を通じた学びは「社会が求める新たな発想を生み出せる人になること」にもつながっていくでしょう。
実際私自身も、社会人生活を送っていた時に、「何かを生みだす人材」になることの重要性と楽しさを感じました。
私は豊橋技術科学大学大学院修了後、富士フイルムに入社して働いていました。
ですが、2000年を過ぎたあたりに、会社のフィルム事業がうまくいかなくなったんです。
そこで会社は、新しい体制を作り、傾き始めた状況をV字回復するために、挑戦者を歓迎しました。
新しいことに挑戦しやすい環境になったんですね。
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
フィルム事業とは関係のない仕事をしていた私は、肩身の狭い思いもしていたので、新しいことへのチャレンジができる環境にワクワクしたんですよね。
こうした社会人経験を通じ、「誰かがやってくれる」と考えるのではなく、新しいことに常に挑戦することの重要性を実感しました。
現在、企業は「指示待ちの人材」ではなく、「新しい価値を生み出せる人材」を求めています。
だからこそ、新しい事業や価値を生み出すノウハウが詰まった「アントレプレナーシップ教育」に、多くの学生に取り組んでもらいたいのです。
アントレプレナーシップ教育を学ぶには?今すぐ試せる方法
- 方法①:自分について周りに聞き、自己理解力を身に着ける
- 方法②:ビジネスコンテストなどに挑戦してみる
方法①:自分について周りに聞き、自己理解力を身に着ける
アントレプレナーシップ教育、社会に出る前に受けておきたいと思いました!
ですが、周りにそういったことを学べる環境があるかどうかもわからず、何から始めるべきなのかわかりません。
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
大学にアントレプレナーシップ教育に関しての授業があれば受講するのもよいと思いますし、SNSなどで情報を探すのも一つの手になると思います。
ですが、初めの第一ステップとしては、アントレプレナーシップ教育のノウハウを学ぶ方法として、「自分について周りに聞いてみること」もできるでしょう。
「自己理解力」を身に着けることで、未来創造力を鍛える基盤づくりができます。
「自分はどんな人間なのか」周りに聞いて知ることが、未来創造力につながるんですか?
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
そうなんです。
自分自身の理解ができていなければ、「未来をこう変えたい!」などという目指したいゴールが見抜けないのです。
そのため、周りに自分自身のことを聞き、客観的に自分をとらえてみることが大きな一歩になるといえます。
自己分析や自己理解は、就活でも必須ですよね。
アントレプレナーシップ教育は就職活動にも活きてくるということですね!
「就活の教科書」編集部 じゅり
方法②:ビジネスコンテストなどに挑戦してみる
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
また、アイデアを生み出す練習として、ビジネスコンテストなどに挑戦することも非常に大切です。
ビジネスコンテストでは、自分自身が考えたアイデアや未来への思いに対して、複数の審査員から意見をもらうことができます。
企業がサポーターとして参加している場合も多く、いろんな人の声が聞き、知り合うことで、「こんな人材が求められている」ということもよくわかるようになるんです。
挑戦するハードルは高いですが、ぜひチャレンジしてみてほしいです。
ビジネスコンテストでの経験は、就職活動での面接でも活きると思います。
一石二鳥ですね!
「就活の教科書」編集部 じゅり
チャレンジのきっかけは何でもいい。一歩外に踏み出して!土谷先生からのメッセージ
最後に、就職活動に取り組む学生、これから社会に出られる学生の皆さんにメッセージをお願いします。
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
挑戦する理由は何だっていいから、「一歩外に足を踏み出してほしい!」と伝えたいです。
挑戦が社会人基礎力を生み出すからです。
チャレンジするきっかけは、「就職活動のガクチカに使えるから」などでもいいんです。
例えば、ビジネスコンテストに出た経験は、エントリーシートなどにも書くことができ、いろんな企業の人と接した経験は面接官からも好印象でしょう。
ビジネスコンテストでの受賞や就活が目的ではないけれど、まず一歩を踏み出してみてください。
一歩外の世界に足を踏み出す時に学びが生まれ、未来を創造する力につながっていきます。
きっかけは何であれ、何かに挑戦し続けることが大切だということですね。
一歩外に出ることはハードルも高いですが、勇気を出して取り組んでいこうと思います。
本日は大変にありがとうございました!
「就活の教科書」編集部 じゅり
豊橋技術科学大学 土谷徹特定准教授
ありがとうございました!
豊橋技術科学大学 アントレプレナーシップ教育プログラム(https://www.siva.tut.ac.jp/)