「就活の教科書」編集部小林
こんにちは!「就活の教科書」取材チームの小林です。
本日は、山陽女子短期大学の金岡敬子教授にインタビューしました。
金岡先生、本日はよろしくお願いします!
よろしくお願いします。
金岡敬子教授

金岡 敬子(かなおか・けいこ)
山陽女子短期大学 人間生活学科 教授
高校卒業後、英語を学ぶために短期大学へ進学し、ビジネス英文タイプやビジネス文書作成を学ぶ。在学中にYMCAの講座でも学習を重ねたことをきっかけに、卒業後は広島YMCAビジネス専門学校で講師として勤務。さらなるスキルアップを求めて英国へ留学し、ビジネス領域を中心に学びながらロンドン日本人学校事務局でも勤務。帰国後は再び教育現場へ戻り、教鞭を取りながら就職指導室担当主任としても学生のキャリア支援を行う中で、キャリア教育への関心を深める。
学生面談や企業との調整を日々行うなかで専門性の必要性を感じ、秘書検定1級を独学で取得。その後、大学への編入を経て広島大学大学院で修士課程・博士課程に進学し、キャリア形成やビジネス教育を体系的に研究。キャリアコンサルタントの資格も取得。
聖母女学院短期大学、広島修道大学、鈴峯女子短期大学、池坊短期大学、四天王寺大学などで秘書学・コミュニケーション論・キャリア教育・情報教育など幅広い科目を担当。
2020年、山陽女子短期大学に就任し、現在に至る。
目次
山陽女子短期大学 金岡敬子教授にインタビュー①:コミュニケーション能力の鍛え方——「自分の限界を決めず、さまざまな経験を積み重ねる」
コミュニケーション能力とは?「人と話せる能力」
「就活の教科書」編集部小林
さっそくですが、コミュニケーション能力育成を研究している金岡先生は「コミュニケーション能力はどのようなもの」だと思いますか?
私は、「自分の考えをしっかり整理して、それを相手にどう伝えることができるか」だと思います。
その伝え方は相手の性格や価値観によって変わりますよね?
だからこそ、多くの経験を積んだ上で、相手に合わせた話し方ができたり、相手の立場に立って考えたりするなど、相手のことを意識しながら自分の意見を伝えていく必要があります。
「敬語が使える」「話し方がうまい」など、テクニックだけで会話がスムーズにできるわけではありません。
それより、人生の経験値が高ければ高いほど、「話の深みや伝わり方が変わっていきますし、相手の気持ちをしっかりキャッチして理解してもらえるようになる」と考えています。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
同じ年代でも「コミュニケーションが上手い」「話に深みがある」人とそうではない人がいると感じます、、、
私は「経験値による差」だと考えています。
ここで、私が考えている経験値とは、今の自分の状況に満足して止まってしまうのではなく、そこから一歩でも踏み出して、何かにチャレンジしたり、興味・関心を持って取り組んだりすることを指します。
同じ時間を生きていても、経験値はそれぞれ違います。
コミュニケーション能力というのは、経験値が低いと上達するのが難しいものなんです。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
経験値の高さとコミュニケーション能力の上達は直接関係があるということですね。
例えば、人から何か聞かれた際、何かしら経験があればスムーズに返せますよね?
相手の話から何か感じ取るものがあるということは、「自分の過去の経験に似ている側面があるから」です。
そこから、さらに会話が広がっていきます。
コミュニケーションというのは、こうした“経験の積み重ね”の繰り返しなんです。
だからこそ、コミュニケーションが苦手だと思っている人ほど、まずは自分が興味・関心を持てることに向き合い、それについて自分自身の考えを持つことが大切だと思います。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
「物事に関心を持つこと」と「コミュニケーション」はどういった関係がありますか?
私は「好奇心を持つことでコミュニケーションの幅が広がる」と思っています。
もし、物事に興味・関心がなく、自分の考えも持っていない状況だと、相手の話に言葉で返せないですよね?
ただ、相手の話を聞くだけで終わってしまうんです。
そうすると、「自分は話すのが苦手だ」「コミュニケーションができない」と思ってしまいがちなのです。
でも、それは、コミュニケーション以前の問題です。
どんな物事に対しても興味・関心を持ち、理解しようとすると、自分の意見を持てるようになります。
だから、相手に「自分はこう思う」と話せるのです。
つまり、自分が興味のないことでも、少し興味を持ってみることでコミュニケーションは向上につながります。
金岡敬子教授
コミュニケーション力を高める方法「限界を決めない姿勢」「興味の幅を広げる」
「就活の教科書」編集部小林
「自分が興味のないことにも興味を持つこと」に難しさを感じる学生もいると思います。
まず、どこから始めたらいいのでしょうか?
今まで何も興味を持っていなかったことでも、「自分がその立場だったらどうするだろう?」と疑問を持つことから始めることをおすすめします。
そうすると、自然と興味に変わっていくからです。
今は、自分の興味のあることだけに集中して、興味のないことにはまったく目を向けない人が多いと感じます。
それ自体は悪いことではないんですが、それだけでは世界が狭くなってしまうのです。
だからこそ、「ちょっと世界を広げてみよう」という意味で、少しずつ色々やってみてほしいです。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
まず、興味を持ってみることが大事なのですね。
その際には、自分で自分の限界を決めないでほしいです。
限界を決めすぎると、コミュニケーション能力は上がりにくいからです。
「これは私には無理だ」「これは違う、私には向いてない」など、行動を起こす前に自分で線を引いてしまうと、そこから動けなくなってしまうんです。
それでは、相手の話も耳に入らなくなってしまう。
でも、「違うとは思うけど、ちょっとチャレンジしてみよう」という気持ちを持つだけで、心に少し余裕が生まれます。
そうなると「もう少し調べてみよう」「ちょっとやってみよう」という気持ちにもつながり、気づかないうちに興味が湧きます。
そのうちに、「今自分が興味を持っていることとは別のことに思えていた中にも意外と共通点がある」と気づいたりします。
そうすることで、コミュニケーション能力は徐々に上がってきます。
金岡敬子教授
山陽女子短期大学 金岡敬子教授にインタビュー②:インターンシップの新しい役割——「会社の業務内容を知る」「社会人と話す」
インターンシップの「意味付け」が激変?「不明確→明確に」
「就活の教科書」編集部小林
インターンシップを研究されている金岡先生の意見をお聞きしたいです。
昔と比べてインターンシップがすごく盛んになっていると感じていますが、インターンシップの「意味付け」や「目的」はどのように変わっているのですか?
インターンシップの意味付け自体が変わっていると感じています。
以前のインターンシップは、「とにかく行ってみる」というような、期間も内容も不明確な部分も多くありました。
でも、今のインターンシップは「社会人との関わりやコミュニケーションを通して、社会でどのように働けばよいかを体験的に理解できるもの」になっています。
また、インターンシップに行くことで、残りの学生生活の中で「自分に何が足りないのか」「どんな方向性が向いているのか」を考える機会にもなっています。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
インターンシップで自己理解を深められるのですね。
企業側はインターンシップを「採用の入り口」として見るようになりました。
以前は「インターンシップと就職活動は別々」と考えられていた時期もありましたが、今はインターンシップに参加した学生に将来有望な人材として声をかける企業も増えてきました。
学生にとっても企業にとっても、Win-Winの関係になっています。
金岡敬子教授
4年制大学と短期大学、それぞれインターンの意味が違う
一方、インターンシップは学校によって大きく違います。
4年制大学と短期大学では、学生に与えられた「時間」が違います。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
それぞれの特徴について教えてください!
4年制大学の場合、1〜3年生の間に、様々なインターン先に挑戦するチャンスがあります。
以前、大阪のコンソーシアムで大学1年生の面接を担当した際、こんな学生がいました。
公的機関での就職を志望している法学部の学生で、1・2年生のうちに一般企業のインターンに参加し、3年生では公的機関、特に法律関連の事務所で経験を積みたいと言っていました。
将来、公的機関で働く際「一般企業の背景も知っておく方が相談者の気持ちに寄り添えるから」と考えたそうです。
このように、4年制大学は余裕を持って、自分のキャリアに必要な経験を積み重ねながら、最終的にどこへ就職するかを考える時間があります。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
4年制大学の学生の場合、より主体性を持って取り組む必要がありますね。
一方、短期大学の場合、入学して1年が経つと、2年次にはもう就職活動が始まります。
4年制大学の学生に比べて、動き出しがとても早いんです。
金岡敬子教授
そのため、本学では短期間で一般企業と専門分野の医療現場の両方を体験できるように、多くの機会を設けています。
入学時には「医療系に就きたい」と思っていても、1年生で一般企業を体験したことで「自分には一般企業が向いている」との考えから、就職先を変える学生もいます。
この「短期間での気づき」が短大生には重要なことなんです。
金岡敬子教授
インターンシップの大きな価値「会社の業務内容が知れる」「社会人と話す」
「就活の教科書」編集部小林
学生が社会経験をする場所が「アルバイト→インターンシップ」に移っている気がします、、、
以前はアルバイトで得られたものが、今はインターンでしか得られないことが多いからだと思います。
私が学生の頃は、事務的仕事の経験ができるアルバイトも多くありました。
でも、今は「飲食・販売のような接客アルバイト」は多くあっても、「企業でいろんな業務を経験できる事務職アルバイト」は、特に地方ではあまり多くありません。
だからこそ、今の学生にとって、インターンシップで「会社の業務内容を知る」「様々な職種で仕事に携わっている社会人と話す」という経験は十分価値があります。
そう考えると、インターンシップが担う役割は大きいものだと思います。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
就活生にはもっとインターンシップ制度を活用してほしいですね。
山陽女子短期大学 金岡敬子教授にインタビュー③:就活生へのアドバイス
学びは普段の生活の中にある
「就活の教科書」編集部小林
学生の中では、「学習環境が整っていない」「お金がないから」など、「学びは外部要因に左右される」と考えている学生もいます、、、
私は「日常の生活の中に学びがある」と伝えています。
学校での勉強だけが学びではありません。
例えば、「日常の中で出会う人」、「他人から聞く話」、「道を歩いているとき見る景色」「書籍」など、そのすべてが学びの材料です。
仮に自分が経験していないことでも、経験してきた人の話からも学べます。
「それを自分のものとして、どう考えるかは自分次第」だと思います。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
金岡先生は、学校での学生の学びについてどのように取り組んでいますか?
一例ですが、「社会人とのコミュニケーションの場として卒業生に来てもらい、現場でのリアルな話をしてもらったり、積極的にディスカッションができる」場も設けています。
15回の授業で「これとこれを教えればいい」という“カリキュラムだけの授業”では不十分だと思っているからです。
社会に出て、いろんな状況の中で生活している人たちは、その1人1人が違う生き方をしています。
その「違う生き方」を知識として取り入れることは、学生にとって大きな学びになります。
実際、卒業生の話を聞いた後に感想を書いてもらうと、「知らなかったことを知る大切さを実感した」「自分では経験できていないことを、先輩の話を通してリアルに感じとった」といった声が多いんです。
つまり、学生が知らない世界・経験を知ることで、「自分はこうしたい」という意欲が湧いてくるのです。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
卒業生とのコミュニケーションの際に、学生が意識すべきことはありますか?
まず、態度や外見だけで人を判断しないことです。
コミュニケーションというのは、他者と言葉を交わす中で、その人の内面が見えてきます。
実際、授業が終わった後に学生たちの話を聞いてみると、「見た目と印象が全然違った」「話してみたら、すごく素敵な考え方をしている人だった」と感じることが多いようです。
だからこそ、私は「見た感じだけで人を判断しない」「話してみて、その人の内面を理解したうえで判断できる人になってください」と伝えたいです。
金岡敬子教授
女性の人生と選択肢の広げ方——「結婚する・しないを今決めなくていい」
「就活の教科書」編集部小林
仕事で「やりたいこと」があっても、結婚・出産といったライフイベントがあったりするなど、どうしても女性は”転機”が多いと感じます、、
そんな中で、「自分の人生のために、結婚しない」と考えている学生は増えていますか?
私の肌感覚なのですが、そういった学生は増えていると思っています。
でも、「なんとなく結婚したくない」「一人が気楽でいい」「他人に煩わされたくない」という場合や「よく考えないまま結婚する」など、人生の重要な選択を安易に決めるのは、おすすめしません。
「自分はこの社会の中でどう生きていきたいのか」「10年後、20年後には社会がどう変わっているか」など、自分と社会のつながりを考えたうえで、ライフイベントについてもしっかりと考えてほしいです。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
確かに、10年、20年経つと、社会は大きく変わりますよね。
社会も変化しますが、学生を取り巻く環境も変わります。
実際、本学の卒業生の中にも、「先生、私は結婚しないと決めました」と言っていた学生がいましたが、つい最近、子どもを連れて大学に来てくれたんです。
その学生に聞いてみると、「自分の生き方にとても共感してくれる人と出会ったので、一緒に歩んでいくことになりました!」と言っていたんです。
だから、今の時点で「結婚する・しない」を決めつける必要はないと思います。
これから生きていく中で、価値観の合う人と出会ったり、自分の考え方が変わったりすることは、十分あり得るからです。
金岡敬子教授
”チャンス”は前髪でつかむ
「就活の教科書」編集部小林
金岡先生、ありがとうございました。
最後に、就活生へ向けてメッセージをお願いします!
私は学生には「チャンスは前髪でつかむ」ことを意識してほしいです。
チャンスというのは、「目の前を通り過ぎる瞬間にしかつかめないもの」だからです。
「どうしようかな」「やるべきかな」と迷っていると、チャンスはそのまま逃げてしまいます。
そのため、チャンスが来たと思ったら、迷わず行動に移してください。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
もし、人生の転機で悩んでいる学生が相談に来る場合、金岡先生はどういったアドバイスをしますか?
私が大学院時代の指導教官からもらった言葉「人生の転機にあたっては、良いことも悪いこともすべて受け入れる覚悟が必要」を伝えたいです。
覚悟を持って挑めば、必ず道は開けるからです。
最初は、誰かに背中を押してもらってもいいんです。
大事なのは、その一歩を踏み出して止まらずに動き続けること。
実際、この言葉は私の支えになっています。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
「踏み出すこと」「止まらず動き続けること」は、これから自分の人生を歩むために大事なことなんですね。
そのためには、まずどのような場面・状況でもコミュニケーションの第一歩、そして基本中の基本である「報・連・相」を必ずいつも実行しながら人と関わることです。
金岡敬子教授
報告(Report)
連絡(Inform)
相談(Consult)
を略した言葉。
その上で、もう一つこれも基本中の基本ですが、何事もPDCAサイクルを自分で回せるようになるとなおさら良いです。
金岡敬子教授
計画する(Plan)
実行する(Do)
振り返る(Check)
改善する(Action)
を略した言葉。
何かの目標を立てたら、最終的に学んだことを自分自身の中に落とし込み、次のステップに向けてに生かす必要があります。
結局、「報連相」「PDCA」など、基礎・基本はすべてにつながっているのです。
それをコツコツ積み重ねることで、必ず結果につながります。
基礎・基本を忘れずに物事に向き合い、実行し続けていると、必ず周りの人は、あなたのことをきちんと見てくれています。
だから、「不安に思わず、できることは次々に挑戦してほしい」です。
まず、基本中の基本「報・連・相」をコミュニケーションの基本として実行してください。
金岡敬子教授
「就活の教科書」編集部小林
金岡先生、本日は本当にありがとうございました!

