「就活の教科書」編集部野口
こんにちは!「就活の教科書」取材チームの野口です。
本日は、東洋大学就職・キャリア支援部の前田 孝さん、伊藤 岳人さん、水上 真里奈さんにインタビューしました。
「主体的に動く力=主活力」を掲げる東洋大学。そのキャリア支援の取り組みや学生への想いを伺いました。
東洋大学就職・キャリア支援部の皆さん、本日はよろしくお願いします!
東洋大学就職・キャリア支援部
東洋大学で就職・キャリア支援に携わって17年目。
前身組織である「キャリア形成支援センター」時代から勤務し、複数キャンパスで学生支援を担当。学生と共に成長しながら、キャリア支援の最前線に立ち続けている。
伊藤 岳人(いとう・たけと)
東洋大学職員として9年目。
教務部でカリキュラムや授業運営に関わったのち、経済同友会へ出向。
高等教育に関する委員会を担当し、「企業が求める学生像」についての議論に参加。
現在は就職キャリア支援課に所属し、学生のキャリア支援に携わっている。

水上 真里奈(みずかみ・まりな)
東洋大学職員として8年目。
学生支援課で課外活動・行事運営・運動部支援などを6年間担当。
現在は就職キャリア支援部に所属し、1〜2年生向けのキャリア支援を担当。
目次
東洋大学就職・キャリア支援部にインタビュー①:東洋大学の就職支援とは?
「主活力」=“主体的に活動できる力”
「就活の教科書」編集部野口
東洋大学のキャリア支援のコンセプトである「主活力」はどのような思いで生まれたのでしょうか?
「主活力」という言葉は、私が着任したときに生まれました。
これからの時代に求められるのは、受け身ではなく自ら考え、行動できる力です。その思いを一言で表す言葉として、「主活力」と名付けました。
今のように変化の激しい社会では、正解のない課題に向き合う場面がたくさんあります。だからこそ、自ら考え行動し、周囲を動かす力が大切です。「主活力」には、そんな力を育てたいという願いが込められています。
前田 孝さん
「就活の教科書」編集部野口
“主体的に動ける力”というのは、就活において非常に重要な力ですね!
その通りです。企業のアンケートでも「主体性を持った人」が常に上位に挙げられています。実際に企業の方からも、「東洋大学の卒業生は、自ら考えて動いてくれる」と評価をいただいています。
そうした声を聞くたびに、「主活力」という言葉が、学生の特徴をよく表していると感じます。
前田 孝さん
学生が企業と触れ合い、リアルな社会を知る機会が豊富
「就活の教科書」編集部野口
東洋大学のキャリア支援には、どのような強みがありますか?
本学は多くの企業から注目をいただいている大学だと思います。
規模に関わらず、多くの企業が関心を持ってくださり、学生にとってはさまざまな企業と出会えるチャンスが多い環境です。
実際、企業説明会では多くの企業が参加してくださり、2月には200社以上が数日に分かれて来校します。
さらに、体験型のイベントやワークでも企業が学生と直接関わる機会を提供してくださっています。
そのため、本学は学生が企業と触れ合い、リアルな社会を知る機会に非常に恵まれている大学だと自負しています。
伊藤 岳人さん
5万件以上の求人データベースを活用
「就活の教科書」編集部野口
企業からの求人情報を学生はどのように受けることができるのでしょうか?
学生へのイベント案内は、大学の就職情報ページ「TO YOU」を中心に行っています。
そこではさまざまなイベント情報を掲載し、学生は自分で内容を確認して参加しています。
さらに、学内メールや専用ツールを使って情報を発信しています。
求人情報については、学内システムで管理しており、現在は5万件以上の求人が掲載されています。
主に中堅・中小企業を中心とした募集ですが、学生にとって幅広い選択肢があります。
また、学生は東洋大学公式アプリからこのポータルサイトへアクセスできます。
本学の学生アカウントでのみ利用でき、個別相談やイベント案内、求人検索など、就職活動に必要なサポートが受けられるようになっています。
→ TO YOU
伊藤 岳人さん
「就活の教科書」編集部野口
学生が幅広い選択をできるようなシステムが整えられているのですね!
東洋大学就職・キャリア支援部にインタビュー②:企業との強いつながりと豊富な機会
低学年から始める、社会とつながるキャリア教育
「就活の教科書」編集部野口
東洋大学の就職支援としてのイベントや取り組みで、力を入れていることを教えてください。
最近は、低学年のうちから社会とつながる機会づくりに力を入れています。たとえば、実際に社会で活躍している卒業生や企業の方を招いて、考え方や働き方に触れるプログラムを実施しています。
また、企業から課題をもらい、学生たちがチームで解決策を考えるようなワークも計画中です。社会人の思考や行動に触れることで、「自分の学びが社会とつながっている」と気づく――そんな経験を大切にしています。
前田 孝さん
「就活の教科書」編集部野口
実際に社会で働いている方と関わる機会は、学生にとって学びになりそうですね。
業界や企業によって、考え方や取り組む課題はまったく違います。いろいろな価値観に触れることで、学生は自然と視野を広げ、自分に合った進路を考えるきっかけにもなります。
こうした経験を早い段階から積むことで、納得のいく進路選択ができるようになると感じています。
前田 孝さん
「就活の教科書」編集部野口
様々な業界の人と出会うことで、学生がなりたい姿も見えてきますね!
海外ミッションで広がる視野
「就活の教科書」編集部野口
他にも、取り組まれていることはありますか?
「海外企業のミッションにチャレンジ」というプログラムも実施しております。
これは、海外の企業で働く日本人とオンラインでつなぎ、その国が抱える社会課題を学生がグループで解決していくPBL(課題解決型学習)です。
たとえばインドでは、貧困地域の子どもたちが、外部要因(例:不定期かつ低収入な仕事しかない、質の高い教育が受けられない、アウトカーストなど)によって努力できない状況に置かれ、その結果として犯罪や汚職に関わってしまうことを防ぐための教育の在り方をテーマとしました。学生は現地企業の方と意見交換を重ねながら支援の方法を考え、最終的に成果をプレゼンテーションとして発表しました。
中には、企業側が学生の提案を気に入り、実際に事業化を検討するケースもありました。
このように、国内だけでなく海外にも視野を広げ、学生が社会課題に触れながら学び・挑戦できる機会を提供しています。
昨年度はデンマーク、インド、カンボジア、ミャンマーの4カ国の企業とつながり、学生がそれぞれの国の課題に取り組みました。
水上 真里奈さん
「就活の教科書」編集部野口
学生の提案が企業に直接届き、事業化を検討されるまでいくのは素晴らしいですね。
オンラインでも、海外に触れることで学生の視野もとても広がりますね。
「海外企業のミッションにチャレンジ」では、地方出身の1年生が参加し、もともと日本で働くつもりだったのが、「海外で働くという選択肢もある」と気づくきっかけになりました。
最初はZoomの接続も難しかった学生が、活動を通してどんどん視野を広げていったのです。
このようなPBLでは、考えてアウトプットする経験そのものに意味があります。
自分の考えを伝え、相手に理解してもらう過程で大きな成長が生まれる。
さらに、同じように悩みながら挑戦する仲間とのつながりもでき、それが学生にとって大きな財産になると感じています。
来年度に向けては、現在、今後の進め方を検討している段階ですが、引き続き低学年にも関わる形で新たな取り組みを計画しています。
水上 真里奈さん
「就活の教科書」編集部野口
学生の提案が企業に直接届き、事業化を検討されるまでいくのは素晴らしいですね。
オンラインでも、海外に触れることで学生の視野もとても広がりますね。
学部の垣根を越えて、相互理解と成長へ
「就活の教科書」編集部野口
このような取り組みやイベントは、学生は学部問わず参加できるのでしょうか?
本学には14の学部がありますが、こうしたイベントでは学部の垣根を越えて学生を交流させるようにしています。
そうすることで、「自分の学びがどう役立つのか」「他学部では何を学んでいるのか」といった新たな気づきが生まれ、相互理解や成長につながっています。
ワークやグループ活動も学部横断で行い、参加は立候補制です。
学年に関わらず、1・2年生どちらでも自由に参加できる形にしています。
水上 真里奈さん
「就活の教科書」編集部野口
授業だけだと、なかなか他学部の人と交流できませんが、課題解決ワークを一緒に乗り越える仲間になれるという貴重な機会でもあるのですね。
東洋大学就職・キャリア支援部にインタビュー③:学生への就職支援の想い
学生のやりたいことへの挑戦を支える
「就活の教科書」編集部野口
キャリア支援の現場で、学生に向き合うときに感じる想いはありますか?
社会のために何かしたい気持ちはあっても、最初は自信を持てずに踏み出せない学生もいます。でも私はいつも、「自分の行動で未来は変えられる」と伝えています。私自身もこの大学の出身ですが、在学中にたくさんの挑戦を重ねて、今の自分につながりました。
大切なのは、“どう学び、どう動くか”です。
だからこそ、学生には早い段階から社会と関わり、「自分もやっていいんだ」と気づいてほしい。その小さな気づきが、大きな成長につながると信じています。
前田 孝さん
「就活の教科書」編集部野口
学生の挑戦を支えるために、どんな取り組みをされていますか?
学生が安心して挑戦できるように、大学と企業のつながりを強める活動をしています。
「求人開拓チーム」を立ち上げて、企業を訪問し、東洋大生の採用状況や企業のニーズを直接伺っています。
「ぜひ東洋大の学生に応募してほしい」という声も多く、そうした情報を学生に伝えることで、一歩踏み出すきっかけをつくっています。私たちの役割は、学生の挑戦を支える“伴走者”であることだと思っています。
前田 孝さん
「就活の教科書」編集部野口
企業に「応募してほしい」と思われていることを知るのは、自信に繋がりますね!
学生の気づきを促し、自分らしく考え行動できるようにする
学生の中には、自分なりの就活の進め方を信じていたけれど、支援室でのアドバイスをきっかけに考え方を変えたという声もあります。
私たちはその“気づき”を与えることこそが役目だと思っています。
今はSNSやインターネット上に就活の情報が溢れていますが、人によって自分に合う進め方があるはずです。
多くの学生を見てきた経験から、個々に合ったアドバイスを届けるのがキャリア支援室の強みです。
就活の節目ごとに相談に来た学生が「相談してよかった」「進む方向が見えた」と言ってくれるのは我々にとって何よりの励みです。
伊藤 岳人さん
「就活の教科書」編集部野口
アドバイスをする際に大切にしていることはありますか?
大切にしているのは、答えを押しつけないことです。
「どちらの企業が良いか」と聞かれても、最終判断は本人に委ねます。
寄り添いながらこちらの考えは伝えますが、選ぶのは学生自身。そうしなければ本当の成長は得られません。
最近は明確な答えを求める学生も多いですが、自分で考え、選び取る力を養うことが何より大切だと考えています。
実際、講座に参加した学生からは「企業に選ばれるのではなく、自分が企業を選ぶ意識になれた」という声も届いています。
就職を“マッチング”の場と捉え、自分らしく考え行動できるようになる――そんな気づきを与えられることにやりがいを感じています。
伊藤 岳人さん
「就活の教科書」編集部野口
答えを提示するのではなく、学生が成長できるように促しているのですね。
大学のキャリア支援も“自分を思ってくれる存在の一つ”として頼ってほしい
私は、必ずしも就職だけが正解だとは思っていません。
大学院進学や海外留学、起業を目指すなど、学生にはさまざまな選択肢があります。
その中で最終的に「やはり就職を選びたい」と思ったときに、大学の支援をうまく活用してもらえたら嬉しいです。
実際に相談を受ける中で、「話をしていくうちに自分の人生を俯瞰して考えられるようになった」と言ってくれる学生もいて、それが少しでも支えになっていると感じます。
学生には、家族や教員、先輩だけでなく、大学のキャリア支援の職員も“自分を思ってくれる存在の一つ”として頼ってほしいと伝えています。
水上 真里奈さん
「就活の教科書」編集部野口
キャリア支援を身近な存在として、学生にとって心の支えにして欲しいですね。
東洋大学就職・キャリア支援部から就活生へのメッセージ
「就活の教科書」編集部野口
東洋大学就職・キャリア支援部の皆さん、素敵なお話をありがとうございます。
最後に、就活生へのメッセージをお願いします!
一言で言えば、「自分の可能性を信じて、まずやってみよう」です。
初めから「無理かも」と決めつけず、少しでも興味があることに挑戦してもらいたい。挑戦の先には、きっと新しい自分との出会いがあります。
失敗しても大丈夫。その経験こそが、自分を強くしてくれます。
未来をつくるのは、他の誰でもなく自分自身。そんな思いを胸に、一歩を踏み出してほしいと思います。
前田 孝さん
学生にいつも伝えている言葉は「世の中は選択肢で溢れている」ということです。
多くの学生は、「自分に合う企業や業界はこのあたり」と、早い段階で自分の枠を決めてしまいがちです。実際の世の中には、数えきれないほど多様な企業や仕事があり、可能性はその先にも広がっています。
だからこそ、自分で限界を作らず、少しでも多くの世界に目を向けてみてほしい。枠を超えて挑戦する中で、思いがけない発見や、“本当に自分らしい道”に出会える瞬間がきっとあると思います。
伊藤 岳人さん
私は学生に「就活は楽しいよ」とよく伝えています。
実際、自分自身も就職活動が楽しかったんです。
これほど多くの企業の話をじっくり聞ける機会は、学生のうちしかありません。
自己分析やSPI対策は大変だと感じるかもしれませんが、それ以上に世界は広く、楽しめる仕事は思っている以上にたくさんあります。
だから、就活を「仕事探し」と重く考えすぎず、「社会を見学しに行く」くらいの気持ちで臨んでほしい。
インターンや説明会を通して、自分の“楽しい”を見つけていってもらえたら嬉しいです。
きっとその先に、自分らしいキャリアのヒントが見えてくるはずです。
水上 真里奈さん
「就活の教科書」編集部野口
東洋大学就職・キャリア支援部の皆さん、温かいメッセージをありがとうございます。
みなさんの人柄が素敵で楽しく取材をさせていただきました。
本日はありがとうございました!



