総合商社の実力比較は「ROA」で行う理由

サイト監修者:岡本 恵典(株式会社Synergy Career)

この記事を読めばわかること

ボスキャリで総合商社を受ける方、冬のインターンに応募される方、そろそろ企業研究や業界研究ですね。今回は総合商社の実力を比較するためにROAという投資の指標を見ます。なぜROAなのか。商社のビジネスモデルの解析と併せてお伝えしたいと思います。

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ROAとは何か

皆さんはROAって聞いたことありますかね?

業界研究本みたいなものにはあまり登場しません。

コーポレートファイナンスやM&Aを勉強している商学部の方や株式投資をしている方にはお馴染みの指標かと思います。

 

「ROA = Return on Asset」

「総資産に対する利益率」=利益 / 総資産

で算出をします。

「ロア」とは読みません!「アールオーエー」です!

 

総資産 = 企業の活動で使えるツールの量

と考えてください。

例えば身近なところでカフェを運営している、と考えてみましょう。

お客様を満足させるためには机や椅子がないといけませんね。

コーヒーを入れるために高い機器を入れるかもしれません。ゆったりするにはソファも?と、いろいろなことが考えられます。これらの、お客さんを喜ばせるための家具なんかが資産です。

 

Return = 利益

ですね。これは分かりやすい。

カフェで1顧客あたり300円をもらったとしましょう。

コーヒーの原価が50円、時給1,000円で1時間に20人の顧客を相手にできるとすれば、人件費が50円でその他50円、トータル費用が150円であれば利益は150円ですね。

 

つまり、「よりお客さんにとって魅力的な家具や備品を揃え、より多くのお客さんに来てもらって利益を上げていける」と、ROAが高くなります。

 

非常にシンプルですね。

 

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なぜ総合商社の実力比較にROAを用いるのか

では、いろいろな比較対象がある中でなぜROAで総合商社の実力を比べるのか。

 

企業を比較するには色々な指標がありますよね。そして、一般的に「業界No.1」という話をするときには、ROAではなく、営業利益の額で表すことが多いです。

売上高や総資産で比べてもいいですが、個人的には総合商社の場合はROAがいいかなと思っています。メガバンクなんかも一緒ですが。

 

ここで、総合商社の業態について考えていきましょう。

皆さんは総合商社、と聞いたときにどんな仕事を思い浮かべますか?

総合商社の主な機能は2つ、トレーディングと事業投資です。

両方に関して言えるビジネスの特徴は、

 

「総資産を大きくする投資をしてビジネスをする」

 

ということです。

 

例えば、事業投資はわかりやすいのですが、よく新聞に

「三菱商事3,000億円投資」とか「伊藤忠商事1,500億円でプラント建設」とか、出てきたりしますよね。

すごいお金持ってるな〜と思いがちなのですが、実態は商社はここまで自分でお金持っていないです。

 

ざっくりですが、総投資が1,500億であれば、自己資金は300億、銀行からの借り入れが1200億とかで投資をしたりします。

 

自分が手元に持っているお金よりも、かなり大きな額を投資します。

 

先ほどのカフェの例で考えてみてください。

 

カフェを開業するのに、手元資金は100万しかない、でも欲しい家具やコーヒーメーカーを買おうとすると1,000万かかるので、これは銀行から借りておこう。というのと一緒です。

 

そう、総合商社の業態の特徴は、最初に大きな買い物をたくさんして、後から少しずつお金を稼ぎ借り入れを返済していく、というビジネスモデルです。

 

トレーディングはカフェに置いてあるコーヒー豆のようなものだと思ってください。手元には50万しかないけど、1,000万分豆を買い付けたら、20%くらい安くしてくれる、となればお金を借りて1,000万分買って、頑張って売り切ろう、となりますよね。

 

こちらも借り入れによって大量の豆を仕入れ、安くしてもらって販売する、というモデルで、最初に大量の豆、という武器を手に入れます。

 

トレーディングにおいても事業投資においても、最初に多くのツールを必要とする=資産を大きくして、それを基にして利益を上げるので、ROAという総資産と利益の両方で対比をさせるROAが、実力を比較するのに適しています。

 

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総合商社のROAで一番は伊藤忠商事

7大商社の業績を比較してみましょう。

三菱商事 三井物産 住友商事 伊藤忠 丸紅 豊田通商 双日
売上高 142,000億 51,000億 51,000億 58,000億 81,000億 68,000億 19,200億
営業利益 5,900億 2,900億 2,700億 3,600億 1,550億 2,100億 750億
当期利益 6,400億 4,300億 3,300億 4,500億 2,600億 1,450億 700億
売上高営業利益率 4.15% 5.69% 5.29% 6.21% 1.91% 3.09% 3.91%
ROA 3.90% 3.80% 4.10% 5.10% 3.70% 3.30% 3.00%
時価総額 57,513億 36,554億 23,964億 37,789億 18,127億 15,578億 5,288億

 

売上高、利益の大きさでは三菱商事が圧倒的にNo.1です。

三井物産と住友商事の2つを併せてちょうど三菱商事くらいの規模になりますね。

 

一方、ROAは伊藤忠商事が一番です。

ほとんどが3%台、2位の住友商事ですら4%ちょっと、伊藤忠だけ突出して5%ですね。

投資をする案件の見極め、投資後の収益化が非常に上手なんですね。

 

「1%しか違わないじゃん」

 

と思われるかもしれません。しかし総合商社の総資産は10兆円を超え、その1%は1,000億円の差になります。1%がモノを言う世界なんです。

 

もう一つ、丸紅の売上高営業利益率を見てください

 

一般的に、売上高営業利益率も会社の実力を見るのに重要な指標として捉えられます。しかし、このケースでは丸紅の利益率は1%台と他の総合商社と比べて実力が低く見えてしまいますが、ROAを見ると決してそんなことはありませんよね。三菱商事、三井物産と同じくらいです。

 

なので、総合商社の実力を見るときは売上高営業利益率だと正確にわかりませんので、ROAをみてください。

 

時価総額、つまり投資家がどれくらい会社に期待しているか、は三菱商事がトップです。会社の規模の大きさ1位×経営の効率性(ROA)3位でバランスが良く、評価が高いんですね。伊藤忠商事も今の会社の規模感のまま拡大ができれば、十分にトップを狙う可能性もあります。楽しみですね。

 

ちなみに、三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅の5大商社は営業利益が当期利益よりも小さいですね。豊田通商と双日は営業利益の方が大きいです。これは、5大商社は石油や鉄、天然ガスなどの海外投資で権益系のビジネスが大きいことを示しています。この権益系の投資は多くは営業利益に入らず、その他の利益として計上されるため、このようなことが起きます。

 

数字って面白いですね。

 

個別の総合商社の分析も進めていきたいと思います。

ちょっとずつ追加していきますね。

 

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カルチャーフィットする商社の選び方

さて、ROAトップの伊藤忠商事ですが、一般的には体育会系との評判が広がっています。まさに体育会系だと思います。

 

三菱商事はプライドが高そう、という評価が多いですね。個人的には、良くも悪くも芯のある人は多いなと思います。商事で働いていることに対するプライド、日本の総合商社のトップを走り続ける使命感のようなものはあるでしょう。

 

三井物産は体育会ですし、結構魂系の人が多い印象ですw

 

住友商事は総合商社の中では若干毛色が違って、どちらかというとチームワーク重視の穏やかな感じの方が多いですね。管理人Lukeは住友商事が一番好きです。

 

丸紅はなんというか、職人肌な人が多いイメージです。総合商社の中では、女性から絶大な人気があります。(なぜかはわかりませんが、、、)

 

伊藤忠商事のように体育会系=実力主義=実力No1の商社、と非常にわかりやすい結果になってますよね。ある程度会社の文化と業績というのは紐付いてくるものです。

 

このように、数字面から企業の評判を自分なりに検証し、カルチャーフィットするところを見つけても面白いかもしれませんね。

 

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